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続きそうだったらなんか考える

近況報告と今後の方針について

近況報告

先日開催されたPT名古屋2020を優勝。
イベントレポートに関してはnoteに投稿しているので、まだ見ておらず、興味があるという人がいればそちらを参照。有料設定しているが、本旨は全て無料で読める。

 

note.com

 

このブログで環境分析を行っていたように、本大会にはかなりの力を注いできた。その努力が報われた形となり、非常に満足しているし、誇らしく思う。この優勝によりマジック・ライバルズ・リーグへの参入を目標設定することが現実的なものとなったが、現在世間を騒がすコロナウイルスにより直近の目標であった「プレイヤーズツアー・シリーズ1・ファイナル」の中止と「プレイヤーズツアー・シリーズ2」の延期が発表され、今後のことはしばらく見通しが立たなくなった。

 

mtg-jp.com

 

「プレイヤーズツアー・シリーズ1・ファイナル」は7月開催の「プレイヤーズツアー・シリーズ2・ファイナル」に組み入れられ、規模を拡大して実施とある。1大会のバリューが跳ね上がる格好となるため、この大会は僕が参加する大会の中で最も価値あるものになる可能性が高い。コロナウイルスはまだまだ収束の見込みが立っていないため実際にこのタイミングで開催されるかはわからないが、現状はここに照準を定めつつ、来るべき時に備える他ない。

 

今後について

しばらくの間は目標となるイベントが無い。そのため、継続的にマジックをプレイする動機付けとして、配信に力を入れようと思う。
PT名古屋以降機材購入など徐々に準備を進めていて、つい先日初回配信を行った。(設定漏れによりアーカイブは残っていない。申し訳ない。)

 

www.twitch.tv

 

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配信画面を管理しやすくするために大きめのモニターも購入。配信の同時視聴をしやすくなるなど練習効率の向上にも繋がり、大満足の買い物。

 

初回かつ突発、ゲームすらプレイしていないにも関わらず500人を超える視聴があり、期待の表れだと受け止めている。これは本当に有難いこと。
今後は毎週火曜の定期配信を予定しているが、上記の通り直近で目標となるイベントが無いため、しばらくの間は配信の頻度を少し増やそうと考えている。
コロナウイルスの影響でPTQも中止されるなど、時間を持て余してしまっているプレイヤーも多いと思うので、そう言った人達が自宅でも楽しめるコンテンツを提供できれば幸い。

 

配信を行う上で意識したいのは「何を考えてプレイしているのか」「一つのゲームから何を得ているのか」を言語化していく点。記事による発信とはまた違った、リアルタイムならではの情報発信をしていけることが理想。
ブログ上で行っていた環境分析を配信中に行うことも視野に入れている。特に今後はモダンをプレイする必要があり、僕はモダンに関する知見が狭いので、視聴者からノウハウを得ることができれば、それを踏まえた分析を行うなど、両者間での相互作用が見込めると思う。これはリアルタイムならではの醍醐味だ。

 

現在の競技シーンを先行するプレイヤーのほとんどは10年以上のキャリアを重ねてきており、技量もさることながら、絶対的な経験値が彼らの強さを支えていると感じる。彼らと僕は年齢的な差はほとんどないが、キャリアは倍近い開きがある。僕はその差を埋め合わせるためにやり方、すなわち「経験の積み方」を非常に大事にしている。何が今後の自分にとって有益な行いとなり、どういうことをすれば成長が見込めるか。そういった思考の巡らせ方を視聴者に伝えていければと思う。

 

意識したい点のもう一つは、視聴者とのコミュニケーション。
配信を通しての会話は記事へのコメントやTwitterでのリプライと比べ遥かにハードルが低いと思っていて、手軽にコミュニケーションが取れる。実際初回の配信では拾い切れない量のコメントを貰うことができ、非常に好感触だった。是非気軽にコメントしてほしいし、質問があればどんどん投げかけてほしい。可能な限り答えていく所存だ。

 

今後しばらくのPT権利は確保できそうなので、PTQには参加できないし、マジックフェスト内でPTとGPが併催されるようならグランプリにも参加できず、プレイヤーと関われる機会は今後ますます減少していく。配信を通してそうした部分を補えればと思う。

 

配信を行うのは約1年半ぶり。僕自身も非常に楽しみにしているので、是非見に来てほしい。
告知はTwitterベースで行う予定なので、フォローも合わせてお願いしたい。

 

twitter.com

 

それではまた、配信で。

パイオニア環境分析8(2020/01/05〜2020/01/07)〜アゾリウスコントロール復権〜

Challenge1本とPreliminary2本を対象。
また記事の最後に今後の更新に関する告知あり。

 

目次

 

成績一覧

▼Challenge 1/5実施

magic.wizards.com

10-1(優勝)
赤単ミッドレンジ

10-1(2位)
黒単アグロ

9-2(3~4位)
アゾリウスコントロール
魂剥ぎ

7-2(5~6位)
黒単吸血鬼
黒単アグロ

6-3(7~8位)
緑単アグロ
緑単アグロ

6-2(9~21位)
黒単アグロ
赤単ミッドレンジ
緑単アグロ
緑単アグロ
緑単ランプ
アゾリウスコントロール
アゾリウスコントロール
アゾリウスコントロール
アゾリウスコントロール
ボロスフェザー
イゼットハサミ
ゴルガリミッドレンジ
魂剥ぎ

5-3(22~32位)
黒単アグロ
黒単吸血鬼
赤単ミッドレンジ
緑単アグロ
緑単信心(タッチ青)
アゾリウスコントロール
アゾリウスコントロール
ディミーアコントロール
イゼットハサミ
ゴルガリミッドレンジ(タッチ《死の宿敵、ソリン》《乱脈な気孔》)
グルール潜在能力

 

▼Preliminary 1/6実施

magic.wizards.com

5-0
赤単ミッドレンジ
黒単アグロ

4-1
黒単アグロ
黒単アグロ
黒単吸血鬼
赤単ミッドレンジ
緑単アグロ
緑単ランプ
アゾリウスコントロール
イゼットハサミ
イゼットフェニックス
ドレッジ
ケシスコンボ

3-2
青単テンポ
黒単アグロ
黒単アグロ
赤単アグロ
赤単アグロ
赤単アグロ
赤単ミッドレンジ
赤単ミッドレンジ
赤単ミッドレンジ
赤単ミッドレンジ
緑単アグロ
緑単アグロ
緑単ランプ
緑単ランプ
緑単ランプ
アゾリウススピリット
イゼットフェニックス
ゴルガリミッドレンジ
グルールシュート
ドレッジ
ドレッジ
ロータスコンボ

 

▼Preliminary 1/7実施

magic.wizards.com

5-0
アゾリウスコントロール
イゼットハサミ
魂剥ぎ

4-1
白単人間
青単信心
黒単アグロ
黒単吸血鬼
赤単ミッドレンジ
緑単ランプ
緑単信心(タッチ青)
セレズニアアグロ
ドレッジ

3-2
白単ミッドレンジ
黒単アグロ
黒単吸血鬼
黒単吸血鬼
赤単アグロ
赤単ミッドレンジ
赤単ミッドレンジ
赤単ミッドレンジ
赤単ミッドレンジ
赤単ミッドレンジ
緑単アグロ
緑単ランプ
アゾリウスコントロール
アゾリウスコントロール
オルゾフミッドレンジ
セレズニアトーク
イゼットハサミ
イゼットフェニックス
5色白日ニヴ
魂剥ぎ
ロータスコンボ
ロータスコンボ

 

アゾリウスコントロール復権

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Challengeではトップ8に1名、6-2に4名が入賞。6-2以上21デッキの中では最多の入賞数。
Preliminaryでは低迷が続いていたが、メタゲームの観点では赤単ミッドレンジ・緑単アグロのような高相性のデッキが増えたのは追い風。黒単アグロには分が悪い(このイベントでも準決勝で黒単アグロに敗北している)が、その他大勢に対し有利に立ち回れる点は魅力。
またChallengeで上位に食い込んでくるプレイヤーは強者とされる者が多いが、その中でもアゾリウスコントロールで好成績を収めているプレイヤーは"生粋のコントロールフリーク"の傾向がある。

 

MTG Goldfish参照
 https://www.mtggoldfish.com/player/アカウント名 のURLで参照できる。

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1/4実施のPreliminary(リンク)においても、コントロールプレイヤーとして定評のある高橋優太の手により、アゾリウスコントロールにとって久方ぶりとなる5-0を記録。

 

先日のドレッジの項でも述べた(リンク)ように、不慣れな人間がいたずらにプレイすると勝率を下げてしまうデッキタイプというものも存在して、コントロールデッキはその典型。長くゲームをプレイし、かつ受動的な立場にあるため、ゲーム内での分岐点が多く、プレイヤーの腕が試される。もしプレイしてみたいのであれば、ある程度腰を据えてじっくり臨む必要あり。もっと言えば、過去にコントロールをプレイしてきた経験があるかどうかも重要。フォーマットや環境が違っても、コントロールが考えることには共通するものがある。
僕個人としても、こうした事態に備え、一定期間を費やしてコントロールの経験を積んだことがある。

mtg-jp.com

 

もし今現在特に興味をそそられるデッキが無いのであれば、新しいデッキタイプの技術習得に費やしてみるのも手。

 

上位デッキ間での相性

上記アゾリウスコントロールの項でも少し触れたが、現在トーナメントシーンをリードするトップメタデッキ群の中にも優劣があり、トーナメント結果に影響を与えている。

 

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・赤単ミッドレンジは黒単アグロに有利
・黒単アグロはアゾリウスコントロールに有利
・アゾリウスコントロールは緑単アグロに有利
などなど。
トーナメントが進行し、トップメタ群が順当に勝ち残っていった場合、必然的にポジションが良くなるデッキというものも出てくる。
Challengeを優勝した赤単ミッドレンジは、合わせて5名がトップ8入りした黒単アグロと緑単アグロに強く、高い確率で有利なデッキと対戦できた。仮に今回のトップ8の面々がそのまま次期環境を形成した場合、良いポジションにつける可能性が高い。

 

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もちろん、その一方で相性の悪いデッキというものも存在しており、準決勝で対戦したゴルガリ魂剥ぎは苦手な相手。呪禁、破壊不能、絆魂など赤点が苦手とする能力をガッツリ兼ね備えており、"完全態"が完成してしまっては勝ち目がない。優勝者はこれをよく理解して、サイドボードには《トーモッドの墓所》を4枚しっかりと用意している。(対ドレッジも兼用)
相性の正確な理解はトーナメントを勝ち抜く上で非常に重要な要素。不利に厚く、有利に薄くのサイドボード構築は基本ながらも最も効果的な手段。

 

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上記で「仮に今回のトップ8の面々がそのまま次期環境を形成した場合、良いポジションにつける可能性が高い」と述べたが、それはあくまで"現状のまま"環境形成が行われた場合の話。今回の結果を受け、プレイヤーが赤単ミッドレンジを意識した選択を行った場合、メタゲームにはまた動きが出る。
前述の通りアゾリウスコントロールはその点で良い選択肢となるし、魂剥ぎ・イゼットハサミあたりもメタゲーム場の立ち位置は良い。それを示すように1/7のPreliminaryでは両者ともに早速5-0を記録している。

 

注目デッキ紹介

▼イゼットハサミ

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katuo079595 - Pioneer Preliminary(2020/01/07) 5-0

メインボード サイドボード

クリーチャー(20)
4 石とぐろの海蛇
2 ギラプールの希望
4 ボーマットの急使
4 ジンジャーブルート
4 技量ある活性師
2 湖に潜む者、エムリー

呪文(19)
2 頑固な否認
2 乱撃斬
4 幽霊火の刃
4 アーティファクトの魂込め
4 爆片破
1 金属の叱責
2 王家の跡継ぎ

土地(21)
1 島
1 山
2 蒸気孔
4 シヴの浅瀬
4 尖塔断の運河
3 産業の塔
2 変わり谷
4 ダークスティールの城砦

2 搭載歩行機械
2 砕骨の巨人
1 潜水
2 霊気の疾風
2 溶岩コイル
2 金属の叱責
2 霊気圏の収集艇
2 飛行機械の諜報網

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12/29に実施されたChallenge(リンク)においてkatoken(BIGs・加藤健介)が使用しトップ8に入賞した際、メインボードに投入されていたのが《湖に潜む者、エムリー》。
従来のリストではこのスロットに《ファイレクシアの破棄者》が用いられていたが、明確な役割を持たず、ぼんやりしたカードだった。エムリーはアーティファクトを主体としたこのデッキにおいては1コストでプレイすることも難しくなく、効果の対象となるカードも多数存在し、状況次第では多大なアドバンテージをもたらしてくれる。システムクリーチャーのため除去には弱いが、本筋はビートダウンのため、本命のクロックを活かす避雷針としての役割も期待できる。
3枚に増量したリストも見られるなど、評価は高い。明確にデッキが強化された。

 

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単色アグロが人気を博している現在のトーナメントにおいて、《ダークスティールの城砦》を用いた破壊不能5/5コンボは相性差を作り出す要因となる。この脅威は原則対処されず、盤面の膠着は《ギラプールの希望》や《ジンジャーブルート》と言った回避クロックを持つイゼットハサミ側にとって好ましい事態。《幽霊火の刃》を使い回すことでダメージ量と盤面の固さを維持できる。

 

先に紹介した魂剥ぎ(リンク)ドレッジ(リンク)同様、「密かにアベレージを出している」タイプのデッキ。単色アグロやアゾリウスコントロールが勝っている事実は皆が知るところであり、人気の高いデッキタイプなので流行りやすい。世間の認知・流行とは別に、こうしたデッキタイプにもしっかりと目を向けていく事が大切。以前述べた(リンク)ように大きな成果を残したり複数回入賞しているものは要チェック。

 

今後の更新について

プレイヤーズツアー名古屋に関して、今回ほぼ全てのメンバーが参加権利を有しているということで、チーム武蔵の面々と調整を行うことになっている。環境デッキが出揃い、『テーロス還魂記』のフルスポイラーを近日に備えていることから、活動が徐々に本格化しつつある。更新に割り当てる時間が担保できそうにないのと、チーム内での守秘義務に基づき、更新を休止する。

 

自身の勉強を兼ねて始めたことだが、好意的な声が多く、喜ばしい限り。有難いことに「有料記事にしないのか」との意見もいただいた。
確かに、実は結構な労力を費やしていて、それこそ調整に支障が出ると判断したからこそ休止を決めた。一応、今後の活動を見据えた動きではあり、1週~2週に1度のペースで直近のトーナメント事情をまとめた情報発信を考えている。情報を追い掛けるのはなかなか手間で、また得た情報をどう整理するかは知識や腕が問われる部分。普段は個人的にやっていることだが、表に出していった方が自分のためにも全体のためにもなる可能性がある。今回は、そもそも需要があるのか、また有料とするにしてもどの程度のクオリティのものを提供できるのかサンプルが必要だと思い、試験的な取り組み。まだ思考中の段階だが、意見要望があれば是非コメント欄に書き込んでほしい。

パイオニア環境分析7(2020/01/02〜2020/01/04)〜環境の固定化と攻略の糸口〜

Preliminary3本を対象。

 

目次

 

成績一覧

▼1/2実施

magic.wizards.com

5-0
黒単アグロ
緑単ランプ

4-1
黒単アグロ
黒単アグロ
黒単アグロ
黒単アグロ
赤単アグロ
赤単ミッドレンジ
赤単ミッドレンジ
赤単ミッドレンジ
緑単アグロ
緑単ランプ(タッチ赤)
ボロスフェザー
スゥルタイドレッジ
スゥルタイフラッシュ

3-2
黒単アグロ
赤単アグロ
赤単アグロ(タッチ《ボロスの魔除け》)
赤単ミッドレンジ
赤単ミッドレンジ
赤単ミッドレンジ
赤単ミッドレンジ
赤単ミッドレンジ
緑単アグロ
緑単アグロ
緑単ランプ
アゾリウススピリット
ボロスフェザー
ディミーアコントロール
イゼットフェニックス
イゼットフェニックス
イゼットフェニックス
バントスピリット
バントオーラ
スゥルタイドレッジ
ロータスコンボ
ロータスコンボ

 

▼1/3実施

magic.wizards.com

5-0
黒単アグロ
ゴルガリ魂剥ぎ

4-1
黒単アグロ
黒単吸血鬼
赤単アグロ
赤単アグロ(タッチ白)
赤単ミッドレンジ
緑単エルフ
緑単ランプ
ディミーアコントロール
ラクドスミッドレンジ
グルールアグロ
スゥルタイドレッジ
ロータスコンボ
ロータスコンボ

3-2
黒単アグロ
黒単アグロ
黒単アグロ
黒単アグロ
黒単吸血鬼
赤単アグロ
赤単アグロ(タッチ黒)
赤単ミッドレンジ
赤単ミッドレンジ
赤単ミッドレンジ
緑単アグロ
緑単ランプ
アゾリウスミッドレンジ
アゾリウスコントロール
アゾリウスコントロール
アゾリウスコントロール
ボロスフェザー
ラクドスミッドレンジ
ゴルガリミッドレンジ(昂揚型)
ゴルガリ魂剥ぎ
グルールアグロ
グリクシスミッドレンジ
ロータスコンボ

 

▼1/4実施

magic.wizards.com

5-0
アゾリウスコントロール
イゼットハサミ

4-1
黒単アグロ
黒単アグロ
黒単アグロ
黒単吸血鬼
赤単アグロ
赤単ミッドレンジ
緑単ランプ
アゾリウスコントロール
アゾリウスコントロール
アブザンミッドレンジ

3-2
青単信心
青単信心
黒単アグロ
赤単ミッドレンジ
赤単ミッドレンジ
緑単アグロ
緑単ランプ
緑単ランプ
緑単ランプ
緑単信心
オルゾフゾンビラリー
ボロスフェザー
イゼットハサミ
イゼットハサミ
イゼットフェニックス
ゴルガリ
ロータスコンボ
ロータスコンボ

 

黒単隆盛~メカニズムと対抗策~

前回(リンク)に引き続き黒アグロが好調。3日間の4-1以上42デッキ中12デッキ、上位の約3割を占める。

 

12(28.5%) 黒単系(黒単アグロ10、黒単吸血鬼2)
9(21.5%) 赤単系(赤単アグロ4、赤単ミッドレンジ5)
4(9.5%) 緑単ランプ
3(7%) アゾリウスコントロール
2(5%) スゥルタイドレッジ
2(5%) ロータスコンボ
1(2%) 緑単アグロ
1(2%) 緑単エルフ
1(2%) ボロスフェザー
1(2%) ディミーアコントロール
1(2%) イゼットハサミ
1(2%) ラクドスミッドレンジ
1(2%) ゴルガリ魂剥ぎ
1(2%) グルールアグロ
1(2%) アブザンミッドレンジ
1(2%) スゥルタイフラッシュ

 

数値でピンとこない場合は実際のトーナメントを思い浮かべてみてほしい。上位卓を見て回った時、3人に1人が同じデッキをプレイしていれば「多いな」「このデッキ勝ってるな」と感じるはず。次点が5人に1人で、その下が10人に1人、さらにその下は20人に1人と考えれば、3割の意味がわかってくる。

 

最近は自身でも黒単をプレイしているが、非常に安定したデッキで、軽いクロックにハンデス・除去と全てのデッキに勝ち得る要素を持ち合わせており、極端に苦手な相手が少ない。
特に除去を主体としたデッキには一際強く、クリーチャーのほとんどが墓地から戻る効果を有しており、アグロデッキにありながら除去が効きづらい。

 

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《至高の評決》のような全体除去をプレイされた後でも、
エンドフェイズに《屑鉄場のたかり屋》起動
⇒自分ターンで攻撃
⇒《血に染まりし勇者》を場に戻す
⇒《どぶ骨》を回収しプレイ
一瞬でクロックを回復。これでは何度除去をプレイしてもいずれ力尽きてしまう。

 

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このため黒単を意識する上では除去に追放効果を含むもの、もしくは墓地対策カードと組わせることで再利用を防ぐ必要があり、そうした戦略が"それなりに"有効であることを確認できた。

 

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しかしながら、黒にはハンデスがあるためプレイする前に対処されてしまう事も多い。またプレイに成功しても、その結果ゲームが長引くと《ロークスワイン城》からもたらされる無尽蔵のアドバンテージが立ちはだかる。《変わり谷》もいずれは対処が必要で、また《変わり谷》を対処するためのカードは他の不死身クリーチャーには有効ではなかったりと、矛盾を孕んでしまう。
経験上、黒単の攻めを受けきることは非常に難しく、闇雲にトレードを繰り返すような戦略は得策ではない。

 

最も有効だと感じたのは"カードを消費しない"やり方。すなわち盤面構築。

 

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黒単のクリーチャーの基本スタッツは2/1で、タフネス3を超えるクリーチャーが場に立つと攻撃できるクリーチャーに制約が加わり、《屑鉄場のたかり屋》はパワーが3あるが、タフネスが4を超え始めると除去をプレイすることでしか乗り越えられなくなる。
マナコストが2以下のものは《致命的な一押し》が通じるため、理想は「マナコスト3」かつ「タフネス4以上」。これを最も効率的に満たせるのが緑単アグロ。

 

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ACG88 - Pioneer Preliminary(2020/1/2) 4-1

メインボード サイドボード

クリーチャー(35)
4 エルフの神秘家
4 ラノワールのエルフ
4 炎樹族の使者
3 ヘンジの槌、ファレン卿
2 不屈の神ロナス
4 鉄葉のチャンピオン
4 恋煩いの野獣
2 ギャレンブリグの領主、ヨルヴォ
4 狩猟の統率者、スーラク
4 原初の飢え、ガルタ

呪文(4)
4 ハイドラの血

土地(21)
14 森
4 ハシェプのオアシス
3 ニクスの祭殿、ニクソス

2 漁る軟泥
2 狩人狩り
2 形成師の聖域
2 墓掘りの檻
2 部族養い
3 英雄的介入
2 減衰球

1コストマナクリーチャーから繋ぐ3マナ域が豊富に用意されており、そのいずれもがタフネス4以上。
黒単は《致命的な一押し》を紛争させるのが難しく、その他の除去は2~3枚程度が主流なので、マスト除去を連打されるといずれ盤面は膠着してしまう。また《不屈の神ロナス》は黒単では原則対処できないため、パワー4以上を維持できる盤面を形成できた場合は一気に硬さが増す。

 

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ただし飛行には脆いため、《悪ふざけの名人、ランクル》の攻撃を許す展開になってしまうとやや厳しい。《恋煩いの野獣》の出来事能力で生み出すトークンやマナクリーチャーを餌にダメージレースを仕掛け、素早く切り返していく必要あり。黒単は「タップ状態で場に出る」「ブロックできない」などのクリーチャーを多用しているため、一度殴られ出すと途端に脆くなる。

 

次に、黒単の構成的に刺さりやすい《再燃するフェニックス》を用いるデッキ、都合赤単ミッドレンジ。

 

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nayaoka - Pioneer Preliminary(2020/1/2) 4-1

メインボード サイドボード

クリーチャー(23)
4 損魂魔道士
3 航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ
4 ゴブリンの鎖回し
4 砕骨の巨人
4 再燃するフェニックス
4 栄光をもたらすもの

呪文(11)
4 乱撃斬
4 稲妻の一撃
3 反逆の先導者、チャンドラ

土地(26)
16 山
4 ラムナプの遺跡
2 エンバレス城
4 変わり谷

4 エルドラージの寸借者
3 チャンドラの敗北
2 削剥
3 減衰球
1 反逆の先導者、チャンドラ
2 目覚めた猛火、チャンドラ

現状の黒単は《再燃するフェニックス》を単体で解決できるカードを用意していないため、2枚以上の除去を合わせ打つか、一度ブロックさせた後除去をプレイすることを迫られるため、どう転んでも損をしない。対黒単相手は最適な壁。
さらに《ゴブリンの鎖回し》も地上戦を主体とする黒単には極めて有効な1枚で、2/1スタッツを中心としている手前、場に出た時の能力で大方場が崩れる。前述の通り黒単のクリーチャーは場に戻る効果を持つが「強襲」や「絢爛」など攻撃をトリガーとするものが多いため、3/3先制攻撃で盤面を塞がれているとそれらの能力は起動しづらい。

 

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膠着した盤面を《反逆の先導者、チャンドラ》《栄光をもたらすもの》が蹂躙。
フェニックスや鎖回し単体をフォーカスした場合は《ゲトの裏切り者、カリタス》が黒単側の突破口になり得るが、このカードは上記2種に弱く、失敗した場合敗北必至の裏目を抱えて戦うことになる。

 

3コスト以上のタフネス4以上が肝であるが、単純に3マナが厚いだけでは1マナからのビートダウンに押し切られてしまう。緑単アグロはマナクリーチャーを用いることで2ターン目から3マナ域を、赤単ミッドレンジは強力な制圧力を持つ3マナ・4マナで切り返すことでイニシアチブを掴んでいる。

 

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また、まだ検証中の状態ではあるが、おそらくロータスコンボも黒アグロには有利なデッキ。ここまでで述べたように2/1がメインスタッツのデッキであるため、《樹上の草食獣》《願いのフェイ》のブロッカー2種がこれらを程よくキャッチ。《願いのフェイ》に関しては《悪ふざけの名人、ランクル》すら通さない。
またデッキのスピード的がロータスコンボの平均キルターンである5ターンと同じか少し遅いかであるため、ブロッカーのプレイで簡単にズラされてしまう。ブロッカーは当然除去対象となってしまうが、除去をプレイする=マナを消費しているためクリーチャーを展開できていない。ロータスコンボ側が必要としている「時間」を有効に稼ぐことができている。
また黒単側のメイン妨害手段であるハンデスはテンポを犠牲に1:1交換を行うだけなので、劇的ではない。コンボの軸である《睡蓮の原野》《演劇の舞台》そのものは対象に取ることができず、《森の占術》は選べるが、最序盤(後手なら1ターン目)しかタイミングが無く、持っていない可能性(最悪の場合は本体となる土地を持っている)もあるので、ハンデス側が不利な裏目を背負っている。

 

注目デッキ紹介

▼緑単ランプ(タッチ赤)

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tyobe0440 - Pioneer Preliminary(2020/1/2) 4-1

メインボード サイドボード

クリーチャー(23)
4 樹上の草食獣
3 砕骨の巨人
4 エルフの再生者
4 茨の騎兵
4 世界を壊すもの
2 龍王アタルカ
2 絶え間ない飢餓、ウラモグ

呪文(10)
2 コジレックの帰還
4 ニッサの巡礼
4 精霊龍、ウギン

土地(27)
9 森
4 踏み鳴らされる地
2 奔放の神殿
4 根縛りの岩山
4 ギャレンブリグ城
4 見捨てられた神々の神殿

4 ゴブリンの熟練扇動者
2 不屈の追跡者
2 墓掘りの檻
4 減衰球
2 コジレックの帰還
1 反逆の先導者、チャンドラ

《約束の刻》型の緑単ランプから《茨の騎兵》を用いた緑単ランプへとシフトして以降、緑単ランプの進化は止まっており、同じようなリストが際限なくプレイされている。今回取り上げたタッチ赤のリストは久方ぶりの意欲作で、《コジレックの帰還》《龍王アタルカ》を用いることで対アグロの相性改善を図っている。

 

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従来のランプは緑単色ゆえ横並べの戦略に弱く、上記の黒単アグロを相手取った際はそれがより顕著に表れ、ずらずらと並んだ2/1の群れに成すすべなく打ちのめされた。
赤をタッチすることで取り入れられた2種の呪文は逆に横並びの戦略に強く、ランプの弱点を補っている。代償として《光輝の泉》や《ウギンの聖域》と言ったバリューランドが失われているが、個人的には緑マナ15枚で無色土地を12枚も採用しているやり方の方が懐疑的であったので、赤マナと合わせて緑マナが増加していることはむしろ加点対象。

 

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逆に気掛かりなのは、赤マナの数自体は10枚と少ないので、《砕骨の巨人》を序盤に唱えるのは難しいと思われるし、サイドボードの《ゴブリンの熟練扇動者》も然り。これは《減衰球》と合わせることでランプが最も苦手とするロータスコンボへのメタと思われるが、プレイできないのでは意味がない。《反逆の先導者、チャンドラ》に関してはもってのほかで、もはや上振れがどうとかそういう問題ではない。

 

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《コジレックの帰還》を用いる関係で緑単の頃のリストに含まれていた《エルフの神秘家》と《ラノワールのエルフ》が無くなっており、序盤のアクションがやや少なくなっている。せっかく第1ターン目のマナ要求値が下がっているので、《森》を削って《奔放の神殿》や《隠れた茂み》を採用し赤マナを安定させるか、《コジレックの帰還》で生き残り、赤マナの発生源ともなるマナクリーチャー《森の女人象》の採用を検討しても良いかもしれない。

 

▼ゴルガリ魂剥ぎ

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HamburgerJung - Pioneer Preliminary(2020/1/3) 5-0

メインボード サイドボード

クリーチャー(30)
2 才気ある霊基体
4 森の女人像
4 ロッテスのトロール
4 残忍な騎士
2 不屈の神ロナス
2 無効皮のフェロックス
3 探索する獣
1 造反の代弁者、サムト
4 魂剥ぎ
4 原初の夜明け、ゼタルパ

呪文(10)
2 集団的蛮行
4 群れの結集
4 忌まわしい回収

土地(20)
4 沼
3 森
4 草むした墓
4 花盛りの湿地
4 森林の墓地
1 ヨーグモスの墳墓、アーボーグ

2 漁る軟泥
2 再利用の賢者
4 思考囲い
3 致命的な一押し
2 最後の望み、リリアナ
2 肉儀場の叫び

フォーマット発足直後に《守護フェリダー》が禁止されるなど、コンボデッキの存在が乏しいパイオニアにおいて、ロータスコンボ・スゥルタイドレッジと並びパイオニアのコンボ部門を支える存在。

 

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《群れの結集》《忌まわしい回収》でデッキから、《ロッテスのトロール》《集団的蛮行》で手札から効果持ちのクリーチャー群を墓地へと送り込み、"究極完全態・《魂剥ぎ》"を生み出すのがコンセプト。このリストの最大値は到達を除く「接死・絆魂・トランプル・呪禁・速攻・警戒・破壊不能・二段攻撃」。《神聖な協力》のような特殊な手段でない限り対処は不可能。

 

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《魂剥ぎ》の構築には二通りがあり、《発生の器》《ウルヴェンワルド横断》まで用いて全力で《魂剥ぎ》を掘り当てる「コンボ特化型」と、今回のリストのように単体でも戦力になるクリーチャーを多く含み、ノーマルに戦うことも視野に入れた「ミッドレンジ型」がある。《魂剥ぎ》の5-0は今回が初めてで、結果だけ見ればミッドレンジ型が有力か。

 

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現状ほとんどのデッキがサイドボードに墓地対策を採用しているため、あまりコンボに執着し過ぎるとサイドボード後の戦いがシビアなものとなる。今回のリストは置き物対策を《再利用の賢者》2枚しか用意しておらず、サイドボード後はむしろミッドレンジ路線を主軸に戦おうとする意志が見て取れる。

 

主流デッキをプレイしていていざコンボを決められると"解なし"で詰んでしまうことも多く、思いのほか侮れない。墓地対策を受けるサイド後が鬼門となるが、今回のリストのように別軸のプランを主軸としておくやり方は非常にスマート。

 

雑感

徐々にメタが絞られつつあるが、環境初期のアゾリウスコントロールやイゼットフェニックスのように再び淘汰が行われる可能性は十分にあるので、引き続き情勢を見極めていく必要がある。
また絞られつつあるとは言えフォーマット全体が雑多であることに変わりはなく、根底には「デッキとしての地力の強さが」が求められているので、メタは移り変わるものと割り切り、じっくりと一つのデッキを練り上げていくのも手。

パイオニア環境分析6(2019/12/31〜2020/01/01)〜単色アグロ揺るがず〜

Preliminary2本を対象。

 

目次

 

成績一覧

▼12/31実施

magic.wizards.com

・5-0
黒単アグロ
緑単アグロ
ロータスコンボ(《二倍詠唱》型)

・4-1
黒単アグロ
赤単ミッドレンジ
赤単ミッドレンジ
赤単ミッドレンジ
緑単アグロ(タッチ青)
緑単ランプ
アゾリウス飛行
ボロスフェザー
スゥルタイドレッジ
ロータスコンボ(《願いのフェイ》型)

・3-2
青単信心
赤単アグロ
赤単アグロ(タッチ《ボロスの魔除け》)
赤単ミッドレンジ
赤単ミッドレンジ
赤単ミッドレンジ
赤単ミッドレンジ
緑単アグロ(タッチ黒)
緑単ランプ
緑単ランプ
アゾリウススピリット
アゾリウスオケチラの碑
イゼットハサミ
イゼットフェニックス
イゼットフェニックス
ゴルガリ魂剥ぎ
グルールアグロ
グルールアグロ
グルールアグロ
バントカンパニー
バントカンパニー
バントスピリット
バントスピリット
バントスピリット
ジャンドかまど

 

▼1/1実施

magic.wizards.com

・5-0
黒単アグロ
黒単アグロ
ラクドスミッドレンジ
ロータスコンボ(《願いのフェイ》型)

・4-1
青単ミッドレンジ(タッチ緑)
黒単アグロ
黒単アグロ
黒単アグロ
赤単アグロ
赤単ミッドレンジ
赤単ミッドレンジ
緑単アグロ
緑単アグロ
アゾリウスコントロール
アゾリウススピリット
ボロス騎士
ボロスフェザー
ディミーアコントロール
イゼットハサミ
シミック
ゴルガリミッドレンジ(タッチ《漂流自我》(サイド後))
ゴルガリミッドレンジ(昂揚型)
グルールアグロ
ロータスコンボ(《二倍詠唱》型)

・3-2
青単信心
青単信心
青単信心
黒単アグロ
黒単アグロ
黒単アグロ
黒単ミッドレンジ
黒単吸血鬼
黒単吸血鬼
赤単アグロ
赤単ミッドレンジ
赤単ミッドレンジ
緑単アグロ
緑単アグロ(タッチ青)
緑単アグロ(タッチ青)
緑単アグロ(タッチ黒)
緑単ランプ
緑単ランプ
緑単ランプ
緑単ランプ
緑単ランプ
緑単ランプ
緑単ランプ
緑単信心
緑単信心
アゾリウスコントロール
アゾリウススピリット
オルゾフゾンビラリー
イゼットハサミ
イゼットハサミ
ゴルガリミッドレンジ
グルールアグロ
グルールアグロ
グルールアグロ
グルールアグロ
ジェスカイ英雄的
アブザンミッドレンジ
アブザンミッドレンジ
スゥルタイドレッジ
ロータスコンボ(《願いのフェイ型》)

 

※成績一覧の並び順に関して
あまり厳密にやる意味は無いが、規則性があった方が整理しやすいので以下を意識
①単色(白>青>黒>赤>緑)
②2色カラーリング(白青>白黒>白赤>白緑>青黒>青赤>青緑>黒赤>黒緑>赤緑)
③3色カラーリング(白青黒>白青赤>白青緑>白黒赤>白黒緑>白赤緑>青黒赤>青黒緑>青赤緑>黒赤緑)
④カラーリングよりも特定のキーカードが重要なコンボデッキなど、特殊な括り(ロータスコンボなど)

 

年末年始ということもあって参加者が多く、その分デッキも多い。サンプルの数が増えるとイベントの特徴が際立ちやすくなるため、分析が捗る。

 

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再三口にしてきていることだが、やはり3色デッキは勝たない。
最初のフォーマット分析で述べた(リンク)が、パイオニアの3色デッキはギルドランドを多用した構成になりやすいため、アグロが一定のシェアを占める現状では明確に弱点が増える。スゥルタイドレッジ(リンク)のように基本は2色ベースで、1色は出なくとも問題ない程度でギリギリか。

さらに、多色化の主な利点は「より多くの色を用いることで採択可能なカードが増えること」にあるが、現状の3色デッキはデメリットを上回るようなメリットを得ていない。
例として、《包囲サイ》に関しては失ったライフを取り戻しているだけであるし、《集合した中隊》に関しても、自分のデッキは中隊を強みとしているかもしれないが、他のデッキも中隊と同じぐらいの力を有したカードをいくらでも持っている。中隊が環境屈指のパワーカードであるならば3色にしてでもプレイする価値があるが、パイオニアには中隊と並ぶかそれ以上のパワーカードが山ほど存在しているので、デメリットに勝るメリットを得られていないと感じる。

 

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緑単ランプ・グルールは勝ち切れないデッキの筆頭。元々3-2ラインに多かったデッキだが、サンプルが増えるとその様子もより顕著になる。弱いデッキでは無いのだが、環境上の優位性が特に無いため、3-2のスコアは至極妥当。各デッキ毎の精査が進み、現状トーナメントシーンで生き残っているデッキはどれもそれなりに強いものばかりなので、メタゲームにマッチしたものが勝ち組となっていく。
ただしそれはあくまで現状に限った話なので、今後メタゲームが変化していくことで再度ポジションを上げてくる可能性はある。

 

注目デッキ紹介

▼黒単アグロ

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ls149950 - Pioneer Preliminary(2020/1/1) 5-0

メインボード サイドボード

クリーチャー(24)
4 血に染まりし勇者
2 戦慄の放浪者
2 どぶ骨
4 漆黒軍の騎士
4 屑鉄場のたかり屋
4 残忍な騎士
2 騒乱の落とし子
2 悪ふざけの名人、ランクル

呪文(12)
4 思考囲い
4 致命的な一押し
2 闇の掌握
2 喪心

土地(24)
15 沼
1 ヨーグモスの墳墓、アーボーグ
4 ロークスワイン城
4 変わり谷

2 ゲトの裏切り者、カリタス
3 強迫
2 闇の掌握
3 減衰球
2 霊気圏の収集艇
3 虚空の力線

《密輸人の回転翼機》健在時にトーナメントシーンを席捲した黒単アグロだが、禁止改定後もしぶとく生き残り、今回掲載分では両日5-0と勢いづいた。
構築に関しては従来のものから大きな変化は無く、1マナからマナカーブに沿ったクリーチャーを展開していき、ハンデス・除去でバックアップ。シンプルでビートダウン然としたデッキ。

 

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単色アグロにありながら長期戦をも戦い抜けるのが特徴で、戦力が尽きない。
相手にした際の対策が難しく、捌くことに専念していると無尽蔵の攻め手を前にカードを消費させられ続け、いずれ力尽きてしまう。

 

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素早い攻めと致命的な置き物は特殊デッキに対して最も有効な戦略。ハンデスと合わせてコンボデッキにも高い耐性を持つ。近頃はロータスコンボやドレッジもポジションを上げてきており、《減衰球》《虚空の力線》はそれぞれ劇的。

 

黒単の中で吸血鬼やゾンビと言った派生も存在するが、純正のアグロタイプが最も成果を残しており、今回特に活躍が際立ったが、実は直近のPreliminaryでは毎回4-1以上のスコアを輩出、安定感を示している。

 

▼緑単アグロ

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Patxi - Pioneer Preliminary(2019/12/31) 5-0

メインボード サイドボード

クリーチャー(35)
4 エルフの神秘家
4 ラノワールのエルフ
4 炎樹族の使者
3 ヘンジの槌、ファレン卿
2 不屈の神ロナス
4 鉄葉のチャンピオン
4 恋煩いの野獣
2 ギャレンブリグの領主、ヨルヴォ
4 狩猟の統率者、スーラク
4 原初の飢え、ガルタ

呪文(4)
4 ハイドラの血

土地(21)
14 森
4 ハシェプのオアシス
3 ニクスの祭殿、ニクソス

2 漁る軟泥
2 狩人狩り
3 形成師の聖域
2 部族養い
4 英雄的介入
1 キランの真意号
1 ビヒモスを招く者、キオーラ

緑単アグロもパイオニア発足当初より活躍するデッキだが、最近のトレンドとなっているのは《ハイドラの血》と《原初の飢え、ガルタ》を用いたタイプ。

 

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緑アグロの定番である2種8枚の1コストマナクリーチャーから繋ぐ3マナ域は4種12枚が用意されており、2ターン目5/5相当が標準の動き。《炎樹族の使者》や《ハイドラの血》が加われば、3ターン目には《原初の飢え、ガルタ》をプレイできる。

 

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《狩猟の統率者、スーラク》による速攻付与のオプションも存在し、2マナ12/12トランプル速攻の突然死も内蔵。関係するカードは全て4枚採用されているため再現性も高く、十分現実的な動き。

 

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《ヘンジの槌、ファレン卿》は信心要因であると共に《不屈の神ロナス》や《ハイドラの血》とのシナジーがあり、特に後者はカード単体の効力を倍化することになり一際強力。コンボデッキを相手取った際など大幅にキルターンを短縮でき、明確な強みとなっている。

 

デッキ内のカードの結び付きが素晴らしく、非常に美しいリスト。
相手の妨害を考慮しない自己完結型デッキの中では最上位の部類。

 

雑感

前回の記事ではイロモノを取り上げた(リンク)が、やはり基本的には単色アグロが強く、安定して結果を残し続けている。今月末には『テーロス還魂記』のリリースを控えており、テーロスを舞台としたセットということで信心要素、ひいては単色の強化が予想され、パイオニアの現状をさらに後押しすると考えられる。
今回取り上げた黒単アグロにも採用を検討できる新たな除去が既に発表されている。

Drag to the Underworld 2黒黒
インスタント

この呪文を唱えるためのコストは(X)少なくなる。Xはあなたの黒への信心である。(あなたの黒への信心は、あなたがコントロールするパーマネントのマナ・コストに含まれる(黒)の数に等しい。)


クリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。

現状は《致命的な一押し》に加える形で《究極の価格》《闇の掌握》《喪心》のいずれかが採用されているが、どれも一長一短で信頼性に欠ける性能。今回発表された《Drag to the Underworld》はその観点で有力。(2ターン目のプレイを考えた場合は現在の選択肢の方が優れる)

 

『テーロス還魂記』のプレビューは続々と行われている最中なので、要チェック。

パイオニア環境分析5(2019/12/28〜30)〜吹き荒れるイロモノ〜

Preliminaryが2つと、週末のためChallengeが1つ。

 

目次

 

成績一覧

▼Preliminary 12/28実施

magic.wizards.com

・5-0
赤単アグロ(タッチ黒)

・4-1
黒単アグロ
緑単アグロ
グルールアグロ
エスパーコントロール
バントカンパニー
スゥルタイドレッジ
スゥルタイかまど霊域池
ジャンド潜在能力

・3-2
白単人間
黒単アグロ
赤単ミッドレンジ
赤単ミッドレンジ
赤単ミッドレンジ
赤単果敢(タッチ《ボロスの魔除け》)
緑単アグロ
緑単ランプ
緑単信心
イゼットフェニックス
ジェスカイファイアー
スゥルタイドレッジ
ティムール門
ロータスコンボ
ジェスカイの隆盛コンボ

 

▼Preliminary 12/30実施

magic.wizards.com

・5-0
赤単ミッドレンジ
ロータスコンボ

・4-1
黒単アグロ
黒単ゾンビ
赤単アグロ
赤単アグロ
赤単ミッドレンジ
緑単ランプ
ゴルガリ
バントカンパニー
スゥルタイドレッジ
スゥルタイドレッジ

・3-2
赤単アグロ
赤単アグロ
赤単アグロ(タッチ《ボロスの魔除け》)
赤単アグロ(タッチ《ボロスの魔除け》)
赤単ミッドレンジ(タッチ黒)
緑単アグロ(タッチ青)
緑単ランプ
緑単ランプ
緑単ランプ
緑単ランプ
ディミーアミッドレンジ
イゼットフェニックス
イゼットフェニックス
イゼットフェニックス
グルール潜在能力
グリクシスミッドレンジ
スゥルタイドレッジ
スゥルタイドレッジ
ジャンドアリストクラッツ
ロータスコンボ
ロータスコンボ

 

▼Challenge 12/29実施

magic.wizards.com

・10-1(1位)
グルール潜在能力

・9-2(2位)
緑単アグロ

・7-3(3位~4位)
イゼットフェニックス
スゥルタイドレッジ

・7-2(5位~8位)
バントスピリット
イゼットハサミ
緑単ランプ
緑単ランプ

・6-2(9位~21位)
赤単ミッドレンジ
赤単ミッドレンジ
赤単ミッドレンジ
緑単ランプ
緑単ランプ
アゾリウスコントロール
アゾリウスコントロール
イゼットフェニックス
ゴルガリ魂剥ぎ
グルールアグロ
スゥルタイミッドレンジ
ジャンドかまど
5C白日ニヴ

・5-3(22位~32位)
黒単アグロ
黒単アグロ
黒単アグロ
赤単ミッドレンジ
赤単ミッドレンジ
赤単ミッドレンジ
緑単アグロ
緑単ランプ
イゼットフェニックス
ラクドスミッドレンジ
ゴルガリ魂剥ぎ

 

Preliminaryでは前回(リンク)に続き赤単系のデッキが好成績を残しており、4-1以上の21デッキ中5デッキを占め、デッキタイプとしては最多。
一方のChallengeはシングルエリミネーションに進出したデッキの中に赤単の姿はなく、Preliminaryでは駆逐されつつあるイゼットフェニックスや緑単ランプが食い込んでくる興味深い結果に。Preliminaryでは上位にほとんど見られなくなったアゾリウスコントロールも2デッキが6-2のスコアを残している。

 

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過去流行したデッキのポテンシャルはどれも確かなものなので、現在のメタゲームを正しく理解し、変化していく事で対応を図れる可能性は十分にある。

 

注目デッキ紹介

▼グルール潜在能力

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senberg - Pioneer Challenge(2019/12/29) 10-1(優勝)

メインボード サイドボード

クリーチャー(27)
4 エルフの神秘家
4 ラノワールのエルフ
4 風雲船長ラネリー
4 砕骨の巨人
4 恋煩いの野獣
3 探索する獣
1 怒れる腹音鳴らし
1 歩行バリスタ

呪文(9)
3 反逆の先導者、チャンドラ
4 吹き荒れる潜在能力
1 呼応した呼集
1 無限への突入

土地(24)
5 山
9 森
4 踏み鳴らされる地
2 獲物道
4 根縛りの岩山

2 漁る軟泥
4 ゴブリンの熟練扇動者
2 形成師の聖域
2 墓掘りの檻
2 減衰球
2 目覚めた猛火、チャンドラ
1 森

デッキのキーカードは《吹き荒れる潜在能力》。非常に禍々しい効果を持っており、これまでも専らコンボ用カードとしてプレイされてきた。

 

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イオニアにおいても《時を解す者、テフェリー》と組み合わせることで一切の呪文が唱えられなくなるロックコンボが存在していたが、このグルールカラーのタイプでは全く別の勝ち手段を見据えている。

 

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《吹き荒れる潜在能力》が存在する状態で《恋煩いの野獣》を出来事としてプレイすると、これはスタック上では「ソーサリー」の扱いを受けることになり、潜在能力は「ソーサリー」を求めて山札を捲り始める。その結果、本来のカードタイプが「クリーチャー」である《恋煩いの野獣》は無視され、デッキ唯一の純粋な「ソーサリー」である《無限への突入》が必ず捲れる仕組みになっている。(手札に引いていなければ)

 

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《無限への突入》で山札を全て引いた後、その効果で《怒れる腹音鳴らし》を山札に戻し、《歩行バリスタ》をX=0で唱えることで《怒れる腹音鳴らし》が捲れるので、最後は手札にある土地を全て対戦相手に投げつけることで勝利。

 

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同じ要領で、《砕骨の巨人》を出来事で唱えた場合、デッキ内のインスタントは《呼応した呼集》しか無いので必ずこれが捲れる。《恋煩いの野獣》をサーチして出来事で唱えればコンボ達成。

 

イオニアにおける2枚コンボは一見把握破格に思えるが、コンボパーツの内《無限への突入》を手札に引いてしまった場合はコンボ達成の目が無くなってしまう他、5マナと重いエンチャントを軸としたコンボであるため、ハンデス・カウンター・置き物破壊など一通りの妨害を受けることになり、穴は多い。

 

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この点はサブプランであるビートダウンでの補填を図っており、コンボに依存せずとも「普通に殴って勝つ」ことも見据えた構成。2種8枚のマナクリーチャーから始まるトップスピードの展開力は従来のグルールアグロと同等のものを持っており、コンボパーツである《恋煩いの野獣》もビートダウン戦力へとシフトが可能。

 

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《風雲船長ラネリー》はデッキの性質を非常にわかりやすく表現した1枚で、《吹き荒れる潜在能力》デッキとしてはマナブーストの役割を持ち、《ラノワールのエルフ》から繋ぐことで3ターン目の《吹き荒れる潜在能力》に貢献する。一方で、ビートダウンデッキとしては3マナの速攻クリーチャーとして対戦相手にプレッシャーを掛ける。両面の役割を持つクリーチャー。

 

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カウンターを有するコントロールデッキに対して5マナのエンチャント呪文を通すのは非常に困難であるため、サイドボード後はビートダウンモードを強化するカードを用意。特にアゾリウスコントロールは潜在能力デッキにとっての天敵である《時を解す者、テフェリー》を有し、こちらの潜在能力が"友情コンボ"を引き起こしてしまう。(潜在能力で捲れた呪文はインスタントタイミングで唱えることになるため、相手の場にテフェリーが存在していると一切の呪文が唱えられなくなってしまう)
そのためこうしたデッキ相手にはコンボパーツを全て下げて戦うことも考慮に入れる必要があり、その点で《ゴブリンの熟練扇動者》はデッキとマッチしているし、《目覚めた猛火、チャンドラ》もビートダウン戦略の着地点としては非常に良い働きをする。

 

個人的に、コンボデッキを評価する基準に「コンボ以外のプランを持っているか」があり、その点グルール潜在能力は非常に現実的なビートダウン戦略を有していて好印象。コンボ以外のプランが無い場合、対戦相手はコンボの妨害ないしそれが達成されるまでの攻めに特化した対策を行えば良く、サイドボード後のデッキの最適化が容易で、2ゲーム目以降の対戦が非常にハードなものとなる。今回のように「コンボもあるがビートダウンもある」ともなれば対策は途端に難航化する。

 

Preliminaryにおいてもしばしば入賞を果たしていたが、Challengeイベントでは遂に優勝を遂げた。今後どう影響していくのか見物。

 

▼スゥルタイドレッジ

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AvatarOfWoe - Pioneer Challenge(2019/12/29) 7-3(4位)

メインボード サイドボード

クリーチャー(27)
4 縫い師への供給者
4 ナルコメーバ
4 サテュロスの道探し
3 屑鉄場のたかり屋
4 秘蔵の縫合体
3 憑依された死体
3 グルマグのアンコウ
2 州民を滅ぼすもの

呪文(13)
4 群れの結集
4 忌まわしい回収
1 悪戦+苦闘
4 這い寄る恐怖

土地(20)
2 沼
3 湿った墓
4 草むした墓
4 ラノワールの荒原
3 植物の聖域
4 花盛りの湿地

2 思考囲い
3 致命的な一押し
1 自然のままに
1 軽蔑的な一撃
4 暗殺者の戦利品
1 悪戦+苦闘
1 減衰球
2 悪夢を引き裂く者、アショク

イオニア発足当初より存在したアーキタイプだが、目立った活躍が見られず低迷し続けていた。最近になって好成績を収めるようになったため注目。テンプレートが確立し、デッキとして完成し始めた。
デッキの動きはやや複雑で分岐点も多く、相手側から施される墓地対策にどう合わせてサイドボードするかなど、デッキに対する理解とノウハウが重要なデッキ。結果を出し始めるのに時間を要することにも頷け、このあたりはアグロデッキとの明確な差異。

 

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プレイは複雑だが構成はシンプルで、主に3つの要素から成る。まずは4種16枚の「墓地肥やし」から始め、墓地リソースを膨らませる。

 

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上記墓地肥やしから落ちることを期待する「墓地リソース」達。山札から落ちた瞬間即時に効力を発揮するもの、遅延型誘発、任意のタイミングで起動するものまで様々。

 

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フィニッシュ手段はいくつかあり、相手次第では墓地から溢れ出す《憑依された死体》《秘蔵の縫合体》だけでノックアウトできてしまうこともあるが、基本的には《グルマグのアンコウ》のパンチ力に委ねるか、横並びからの《悪戦+苦闘》、《州民を滅ぼすもの》による一撃必殺でゲームに蓋をする。

 

ドレッジは一般的なデッキとアドバンテージの得方が異なっているため、まずは考え方の整理が必要。バーンデッキが火力呪文を対戦相手の本体に打ち込んでいくように、アドバンテージにはいくつかの形がある。ドレッジにとってのそれが「墓地リソース」にあたり、「墓地肥やし」呪文を唱えることでカードを墓地に貯めていき、その中に「墓地リソース」が1枚含まれる毎にアドバンテージを得ていく。
また「墓地肥やし」の行動そのものは準備のアクションなのでテンポを失う動きではあるが、0マナ1/1飛行(《ナルコメーバ》)、0マナ3/3(《秘蔵の縫合体》)、2マナ2/2+1/1飛行(《憑依された死体》)、0マナ3点ダメージ3点回復(《這い寄る恐怖》)といった具合に、捲れた墓地リソースらがそれを補っていく。
手札から墓地、墓地から場、場からライフといった具合に、アドバンテージの形態が段階的・並行的に変化していくため、今自分が何を行っており、この後の動きで何を成していくのかをよく理解し、それに向かってプレイを進めていく必要がある。繰り返しになるが、理解とノウハウが重要なデッキ。

 

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もう一つの理解のポイントとして「対戦相手が行う墓地対策」がある。パイオニアにはモダンに劣らない質の墓地対策が存在しており、サイドボードの常連となっている。これへの対抗策は必要不可欠。

 

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幸い置き物対策にも軽く使い勝手の良いものが揃っている。中でも《暗殺者の戦利品》は対戦相手の採択・ドロー内容に依存すること無く使い勝手が良い。強烈なデメリットを有するものの、墓地対策のいくつかは「対処できなければ負け」レベルの脅威であるため非常時の緊急手段としては最適な存在。上記リストでも4枚が選ばれている。

 

雑感

これまでのPreliminaryの入賞デッキにも"イロモノ"はいくつか含まれていたが、意図的に触れないようにしてきた。単発的なものである可能性が高く、トーナメントシーンを追いかけるという観点ではノイズになりがち。事実として継続的に好成績を残すものは見当たらなかった。
だが今回の潜在能力のように極めて優秀な成績を収めたり、ドレッジのように継続的に好成績を上げるものに関してはそのポテンシャルを評価し、むしろ積極的に目を向けていく必要がある。

パイオニア環境分析4(2019/12/26〜27)〜多種多様な赤単達〜

年末のドタバタで公開の時機を逸してしまったが、せっかく書いたので掲載。

 

目次

 

成績一覧

▼12/26実施

magic.wizards.com

・5-0
赤単ミッドレンジ

・4-1
黒単アグロ
黒単ミッドレンジ
赤単アグロ(タッチ《ボロスの魔除け》)
赤単ミッドレンジ
赤単ミッドレンジ(タッチ黒)
赤単ミッドレンジ(タッチ黒)
緑単アグロ
緑単ランプ
オルゾフミッドレンジ
ジェスカイフレンズ

・3-2
黒単アグロ
黒単ゾンビ
赤単アグロ(タッチ黒)
赤単ミッドレンジ
緑単ランプ
緑単ランプ
緑単ランプ
ディミーアコントロール
イゼットフェニックス
ゴルガリ昂揚
ゴルガリ昂揚
ゴルガリ
バントカンパニー
ティムルール霊気池
スゥルタイかまど霊気池

 

▼12/27実施

magic.wizards.com

・5-0
赤単アグロ
赤単ミッドレンジ

・4-1
黒単アグロ
黒単アグロ
赤単アグロ(タッチ《ボロスの魔除け》)
赤単アグロ(タッチ黒)
緑単信心
オルゾフゾンビラリー
セレズニアトーク
ラクドスアグロ
スゥルタイドレッジ
ロータスコンボ

・3-2
白単人間
赤単アグロ(タッチ《ボロスの魔除け》)
赤単アグロ(タッチ黒)
黒単アグロ
緑単アグロ
緑単ランプ
緑単ランプ
緑単ランプ
セレズニアトーク
ディミーアコントロール
イゼットフェニックス
イゼットフェニックス
ゴルガリ魂剥ぎ
ゴルガリ
グルールアグロ
ジェスカイフレンズ
ティムルー霊気池
ティムール霊気池
スゥルタイかまど霊気池
ロータスコンボ

 

3つの5-0は全て赤単で、4-1も20デッキ中6デッキを占めており、圧倒的。
この流行によりイゼットフェニックスは駆逐され、以前より数を減らしていたアゾリウスコントロールに関しては消滅した。グルールの衰退と合わせ、数日前に定めたtier(リンク)は完全にひっくり返っている。
先日の記事でも触れた(リンク)が、イゼットフェニックスは赤単に対する回答を基本的に持たないため、これが流行しては駆逐されるのみ。

今回は現在のメタゲームの中核を担う赤単にフォーカス。
赤単と言ってもそのバリエーションは様々で、「多種多様な赤単が存在している」という状態が対応をより困難なものとしている。アゾリウスコントロールの衰退もこれが要因として大きく、ただでさえ雑多が多い環境であるのに、トップメタのデッキの中でもゲームレンジがまばらというのはやりづらいことこの上ない。

 

多種多様な赤単達

▼赤単アグロ

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sandydogmtg - Pioneer Preliminary(2019/12/27) 5-0

メインボード サイドボード

クリーチャー(24)
4 僧院の速槍
4 損魂魔道士
4 ギトゥの溶岩走り
4 ボーマットの急使
4 大歓楽の幻霊
4 砕骨の巨人

呪文(16)
4 乱撃斬
4 稲妻の一撃
4 魔術師の稲妻
4 舞台照らし

土地(20)
16 山
4 ラムナプの遺跡

3 焙り焼き
4 減衰球
4 無頼な扇動者、ティボルト
4 実験の狂乱

直近で全く同じリストが2度5-0を達成している、純正の赤単。
メインボードが11種4枚+《山》16枚、サイドボードが3種4枚+3枚1種の非常に男らしい構成。
1マナ域16枚、直接火力20枚、《大歓楽の幻霊》使用と、最もライフを攻めることに特化。

 

▼赤単アグロ(タッチ《ボロスの魔除け》)

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yunosuke02 - Pioneer Preliminary(2019/12/27) 4-1

メインボード サイドボード

クリーチャー(18)
4 僧院の速槍
4 損魂魔道士
2 ギトゥの溶岩走り
4 大歓楽の幻霊
4 ヴィーアシーノの紅蓮術師

呪文(23)
4 乱撃斬
4 稲妻の一撃
4 ボロスの魔除け
4 魔術師の稲妻
4 批判家刺殺
3 舞台照らし

土地(19)
7 山
4 聖なる鋳造所
4 戦場の鍛冶場
4 感動的な眺望所

3 サテュロスの火踊り
3 瘡蓋族の狂戦士
3 暴れ回るフェロキドン
3 岩への繋ぎ止め
3 灼熱の血

12/22の5-0(リンク)を機に増加し、赤単の中でも比較的ベーシックなリスト。
白をタッチすることで、最上級の火力である《ボロスの魔除け》を使用できる他、サイドボードから《岩への繋ぎ止め》《安らかなる眠り》を用いることで特定のデッキタイプに対し強く出られることが利点。

 

▼赤単アグロ(タッチ黒)

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contrap - Pioneer Preliminary(2019/12/26) 4-1

メインボード サイドボード

クリーチャー(25)
3 損魂魔道士
4 ボーマットの急使
4 屑鉄場のたかり屋
4 ゴブリンの鎖回し
4 砕骨の巨人
4 再燃するフェニックス
2 栄光をもたらすもの

呪文(9)
3 乱撃斬
3 削剥
3 キランの真意号

土地(24)
12 山
4 血の墓所
4 凶兆の廃墟
4 竜髑髏の山頂

2 凶兆艦隊の向こう見ず
4 思考囲い
3 戦慄掘り
2 炎の侍祭、チャンドラ
2 霊気圏の収集艇
2 反逆の先導者、チャンドラ

メインボードの《屑鉄場のたかり屋》、サイドボード後の《思考囲い》や《戦慄掘り》のために黒をタッチした構成。《キランの真意号》を用いるなど攻めが多角的で、コントロールを筆頭に除去デッキへの耐性が上がっている。
上記を用いることは他方でアグロに対するガードの低下に繋がるが、《ゴブリンの鎖回し》《再燃するフェニックス》と言った要素でこれを補完。

 

▼赤単ミッドレンジ

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Duggie12 - Pioneer Preliminary(2019/12/26) 5-0

メインボード サイドボード

クリーチャー(23)
4 損魂魔道士
2 航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ
4 ゴブリンの熟練扇動者
4 ゴブリンの鎖回し
4 砕骨の巨人
2 朱地洞の族長、トーブラン
3 栄光をもたらすもの

呪文(12)
4 乱撃斬
4 稲妻の一撃
2 反逆の先導者、チャンドラ
2 エンバレスの宝剣

土地(25)
17 山
4 ラムナプの廃墟
2 エンバレス城
2 変わり谷

3 瘡蓋族の凶戦士
4 トーモッドの墓所
1 高山の月
1 ミジウムの迫撃砲
2 削剥
2 丸焼き
2 減衰球

低マナのクリーチャーはアグロとしての立ち振る舞いを可能とする最小限のみを残し、カードの質を重視したミッドレンジ構成。
12/20のPreliminaryで登場(リンク)して以降一定のシェアを保ち、環境に定着。

 

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triosk - Pioneer Preliminary(2019/12/27) 5-0

メインボード サイドボード

クリーチャー(23)
4 損魂魔道士
3 航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ
4 ゴブリンの鎖回し
4 砕骨の巨人
4 再燃するフェニックス
4 栄光をもたらすもの

呪文(11)
4 乱撃斬
4 稲妻の一撃
3 反逆の先導者、チャンドラ

土地(26)
16 山
4 ラムナプの廃墟
1 エンバレス城
4 変わり谷
1 屍肉あさりの地

4 エルドラージの寸借者
4 チャンドラの敗北
2 削剥
2 丸焼き
2 減衰球
1 反逆の先導者、チャンドラ

上記リストとはやや異なり、メインボードから《再燃するフェニックス》を採用したタイプのものも登場。タッチ黒タイプに見られた手法だが、赤いカードなので単色でも採用可能であるし、ミッドレンジの意向にも沿うため環境が求めるのであれば率先して採用すべき。サイドボード後は《チャンドラの敗北》を用いるなど赤同系を強烈に意識している。

 

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サイドボードの《エルドラージの寸借者》は対ランプ戦において有効。デッキタイプをミッドレンジタイプとすることでカードパワーは底上げされているが、その分スピードは落ちており、ランプデッキには苦戦を強いられやすい。寸借者は序盤の速攻と中後半の大型奪取を兼ね、利便性の高いクロックになる。
またこの運用のために無色マナの発生源として《ラムナプの遺跡》を合わせて採用しており、上記戦略を適用する上では追加のダメージ源としても重宝。

 

総括

《王冠泥棒、オーコ》《運命のきずな》禁止以降、健全なメタゲームのサイクルが行われている。
現状は赤単の攻略が各デッキに求められることではあるものの、他のデッキタイプも一定数シェアを占めている。5-0は全て赤単であったが4-1の7割は異なるデッキタイプで、3-2以下は混沌としており、緑単ランプのようなデッキ群もまだ多く見受けられる。
トーナメントを勝ち抜くためには雑多に負けないデッキとしての強さがありながらも、トップメタに優位に戦えることが必要で、その点で赤単はどんなデッキ相手にも真っすぐで勝ち切れるシンプルさと、ポジションの良さから現状の好調を促している。これら要件を満たすのはなかなか難しいので、現状は赤単・黒単・緑単と言ったシンプルなデッキが好成績を収めている認識。
ミッドレンジやコントロールは意識すべき対象が明確でなければカードの採択が的確に行いないため、これだけ流動的なメタゲームではなかなか成果を挙げづらい。

パイオニア環境分析3(2019/12/25)~ミッドレンジの出現~

昨日記事を上げたばかりだが、朝起きたら性癖のど真ん中である昂揚ミッドレンジが5-0していたので、完全に勢いだけで書いている。
動きのある内は旬を逃さないように上げていければと思う。ある程度メタが出揃い、環境が固定化されてきたら更新ペースを落として、週1ぐらいに落ち着かせたい。プレイヤーズツアーに向けた練習が本格化するまでは続ける予定。

 

目次

 

成績一覧

▼12/25実施

magic.wizards.com

・5-0
赤単アグロ(タッチ《ボロスの魔除け》)
赤単アグロ
ゴルガリ昂揚

・4-1
緑単ランプ
緑単ランプ
緑単ランプ
緑単ランプ
アゾリウスコントロール
アゾリウススピリット
グルールアグロ
グルールアグロ
ジェスカイフレンズ
アブザンかまど
ティムール霊気池
ロータスコンボ

・3-2
黒単吸血鬼
黒単吸血鬼
赤単アグロ(タッチ《ボロスの魔除け》)
赤単アグロ(タッチ《ボロスの魔除け》)
赤単アグロ(タッチ《ボロスの魔除け》)
赤単アグロ(タッチ《宝船の巡航》)
赤単アグロ(タッチ黒)
赤単ミッドレンジ
赤単ミッドレンジ(タッチ黒)
緑単ランプ
緑単ランプ
緑単ランプ
緑単ランプ
アゾリウスコントロール
アゾリウスコントロール
アゾリウスコントロール
ボロスフェザー
ボロス騎士
イゼットフェニックス
イゼットフェニックス
イゼットフェニックス
ゴルガリ昂揚
ゴルガリ
アブザン昂揚
ロータスコンボ

 

注目デッキ紹介

▼ゴルガリ昂揚

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McWinSauce - Pioneer Preliminary(2019/12/25) 5-0

メインボード サイドボード

クリーチャー(12)
1 歩行バリスタ
2 残忍な騎士
3 クルフィックスの狩猟者
1 巨森の予見者、ニッサ
3 不屈の追跡者
1 墓後家蜘蛛、イシュカナ
1 約束された終末、エムラクール

呪文(25)
4 思考囲い
4 致命的な一押し
2 発生の器
4 ウルヴェンワルド横断
3 忌まわしい回収
4 突然の衰微
1 最後の望み、リリアナ
3 世界を揺るがす者、ニッサ

土地(23)
5 沼
7 森
4 草むした墓
4 花盛りの湿地
3 寓話の小道

2 漁る軟泥
1 不屈の追跡者
2 ゲトの裏切り者、カリタス
1 墓後家蜘蛛、イシュカナ
1 約束された終末、エムラクール
3 強迫
2 害悪な掌握
2 減衰球
1 ゴルガリの女王、ヴラスカ

遂にミッドレンジが5-0を達成。ミッドレンジデッキは5-0どころか3-2以上も稀で存在しているのかどうかさえ不明だったが、MO界の強豪McWinSauceによってようやく成し遂げられた。(⇒彼のトーナメント記録(リンク)。2019年11月~12月の2か月で20個デッキリストが公式掲載されている)

 

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ミッドレンジは環境次第で構造と立ち位置が変化するデッキタイプだが、パイオニアのようなアグロが強い環境では受けの展開を捌き切るために軽量除去が必須となる。しかしこれはアゾリウスコントロールのようなクリーチャーを全く使用しないデッキに対して完全な不要牌となり、構造不利の要因になりやすい。少し前のグルールアグロとアゾリウスコントロールのように二極化された環境では成果を上げるのが難しかった。その後台頭してきたランプデッキも軽量除去の対象となるようなクリーチャーは全く入っておらず、立場は悪くなる一方。

 

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しかしながら、環境の多用化が進んだことでアゾリウスコントロールが徐々に数を減らしていき、ランプもノンクリーチャータイプからクリーチャータイプに移行したことで除去対象が増え(今回入賞のランプも全てクリーチャータイプ)、赤単アグロがポジションを上げるなど、軽量除去を用いるデッキ構造が肯定されるようになり始めた。
現在のメタゲームはミッドレンジにとって徐々に風向きが良くなりつつあると言える。ただしデッキ性質上ランプは厳しいのでここに勝つための工夫は必要。

 

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今回のリストではプレインズウォーカーの枠に《世界を揺るがす者、ニッサ》を用いることで攻撃性を持たせ、ランプとの相性改善を図っている。ゴルガリ昂揚のプレインズウォーカー枠には《最後の望み、リリアナ》や《ゴルガリの女王、ヴラスカ》と言った守備的だったりアドバンテージソースだったりのカードが使われがちだが、ニッサの採用は非常に攻撃的な選択。
《ハイドロイド混成体》のようなカードがある訳でもなく《歩行バリスタ》も1枚しかないので膨大なマナの注ぎ先は決して豊富という訳ではないが、それでも《約束された終末、エムラクール》の早期プレイに貢献するなどシナジー要素も存在している。デッキ内に1枚でも存在していれば《ウルヴェンワルド横断》により5枚カウントできる。

 

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《墓後家蜘蛛、イシュカナ》はアグロに対し鬼神の如き強さを発揮する1枚で、ゲームに与えるインパクトが凄まじい。アグロ偏向の環境になるのであればこの存在だけでも昂揚デッキを選択する理由になる。流行りのイゼットフェニックスにも単身で到達持ちのブロッカーを4体用意可能。

 

雑感

イゼットフェニックスの流行に合わせて赤単アグロがポジションを上げてきている。
モダンで両者が相対した際は「メインは《氷の中の存在》次第、サイド後は《ドラゴンの爪》マスト」とも言われていたが、現在のイゼットフェニックスは《氷の中の存在》は不採用、《ドラゴンの爪》はプールにも存在しないということで、もはや改善のすべがあるのかも不明な状態。ちなみに筆者はグランプリ横浜2019でイゼットフェニックスを使用し、bye明けでボロスバーンと3連戦し0-3を喫した。

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イゼットフェニックスが強力なデッキであることに間違いは無いが、目立ち過ぎたがために意識の対象となりつつあることから、またメタゲームが動き出しそうな気配を見せている。今回のゴルガリ昂揚の躍進もその動きの一環。