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アルケミー探検

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12/10よりMTGアリーナに新フォーマット「アルケミー」が導入された。
MTGでは難しかった既存カードへのバランス調整(ナーフ・バフ)や、セットリリース後のカード追加が行われる、MTGアリーナ独自フォーマット。
明言されていないが、MTGアリーナ上ではスタンダードに取って代わるものとして確立されていくのではないかと思っている。

 

アルケミーに関する詳細は以下を参照。

 

このフォーマットはスタンダードを下地に、以下が追加要素となっている。

・いくつかのカードに対するバランス調整

・新カード追加

 

バランス調整は上方修正(バフ)もあるものの、メインは下方修正(ナーフ)。スタンダード環境で猛威を振るういくつかのカードに対し、修正が入っている。

 

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直近のスタンダードを席捲しているイゼット天啓のキーカード《アールンドの天啓》は大幅パワーダウン。予顕してもコストが軽くならないので《感電の反復》と合わせてのコンボ成立ターンに遅れが生じる。たかが1マナされど1マナ。ビートダウンデッキを相手取る際、1ターンの遅れは致命的だ。
また予顕からのプレイでしかトークンが生まれなくなってしまったため、手札からプレイした際の効力が著しく低下した上に、《感電の反復》でコピーした場合にもトークンが出ない。上手く調整したもので、これではよくある追加ターンスペルの1枚に過ぎず、支配的な強さは無い。

 

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次に《エシカの戦車》。戦場に出た際に生成されるトークンの数が1体になった代わりに、搭乗コストが2になった。初めて見た時は登場が2なら実はそれほど弱体化されていないのではないかと思ったが、全くそんなことは無く、出てきたトークンの方を処理されてしまうとコピー能力が活かしづらく、ただの機体に成り下がってしまう。他のトークン生成カードとセットで運用することが必要不可欠になってしまった。加えて、対戦相手が除去を構えていそうな展開であえて搭乗しないプレイを取ろうとした場合、2点のダメージしか出ないのでプレッシャーが大きく低下。しっかり弱体化している。

 

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《黄金架のドラゴン》も変わり果てた姿で発見された。対象に取られた際に宝物を生成することができなくなったため、除去耐性が低下、というより無くなった。5ターン目にプレイしたドラゴンが《運命的不在》や《冥府の掌握》の前に無抵抗にやられていくのを見て悲しい気持ちになった。コントロールデッキでの運用は難しくなり、ビートダウンデッキにおけるごり押し担当に。

 

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《光輝王の野心家》および《不詳の安息地》のナーフは一見するとそれほど変化が無いように見受けられるが、これも大きな違いがあり、《光輝王の野心家》は戦闘前にカウンターを載せられなくなったことから「同ターン中に対戦相手のクリーチャーサイズを越えることができず、攻撃できなくなる」ケースが増えた。ライフを攻めるスピードが低下するとゲームが間延びしていくため、ビートダウンデッキにおいては死活問題になり得る。《不詳の安息地》に関しても同様の問題が付きまとう。どうしてもパワー4の頃に比べてゲームターンが伸びてしまう。

 

このように、現スタンダードに存在する全デッキのキーカードが弱体化されている。特定のデッキをパワーダウンさせてバランスを取りたいというよりは、全く新しい選択肢に陽の目を当てたいという狙いが強いように見受けられた。

 

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また他数枚のカードがバフ(および禁止カードをナーフして復活)されたが、いくら強化されたとはいえ環境をリードしている者達とはカードパワーに開きがあり過ぎるため、現状は戦いについていくことができない。環境のチャオズ

 

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「せっかくテコ入れするならもう少しやりようはないのか」が正直な感想だが、初めての取り組みということで色々難しいのかもしれない。これらも有効活用するすべがまだ発見されていないだけの可能性もある。今は見守るものとする。

 

チャオズを除くカードはどれも使えなくはないが、無理して使うほどかというと怪しいレベルまでパワーダウンしている。優先して使うべきカードから選択肢の一つへ。イゼットは天啓やドラゴン以外にもカードが充実しているので異なるデッキが構築できるし、白系アグロや緑系アグロも新規カードが追加されており、構築幅が広がった。
今後もこうした意向となるかはわからないが、少なくとも今時点ではアルケミーをスタンダードとは全く別のものとしたいように思える。単なる「調整版スタンダード」とする気はなさそうだ。

 

せっかくなので、ガチで取り組んでみた。イニストラードチャンピオンシップを終えたばかりで配信のネタにも困っていたのでちょうど良かった。普段は以下で基本毎日配信しているので。良かったら是非。

 

まず始めに試したのがアルケミー版イゼット天啓。

 

個人的にイゼット天啓というデッキが好きで、スタンダードでも愛用してきた。スタンダードのものをベースに、新規カードの中からデッキに入れられそうなものをピックアップし、チューニング。

 

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アルケミー要素その1、手札の3マナ以上のインスタント・ソーサリーを「永久に」コストダウンする。《公式発見》《アールンドの天啓》のような重いカードを軽くすることでコンボターンを早めたり、《予想外の授かり物》をコストダウンすることで最速4ターン目には《感電の反復》とのコンボが決まる他、《ゼロ除算》を1マナの万能対応呪文に変化させることができる。さらにこうして軽くなった呪文は《溺神の信奉者、リーア》のフラッシュバックにも対応するため、1度で2度美味しい。

 

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アルケミー要素その2、呪文書からのドラフト。ドラフトカードは他にも何枚かあり、《呪い縛りの魔女》なんかも人気があるが、《書庫の鍵》はドラフトしてくるカードの質が異常に高い。中でも《時間のねじれ》《悪魔の教示者》《副陽の接近》はスタンダードを基盤としたフォーマットにおいて規格外の威力を発揮する。ドラフトのインパクトが大きい1枚だが、単純にマナブースト手段としても優秀で、天啓感電コンボやリーアとの相性が良く、デッキにフィットしている。《時間のねじれ》が公開された場合は宇宙へと突入。《感電の反復》とコンボした上でリーアによる使い回しが可能。例外なく対戦相手は爆発。

 

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アルケミー要素その3、抽出。デッキからランダムに3枚の呪文を手札に加える。おまけで手札の呪文を全てコストダウン。(おまけにしては強過ぎる)
従来のドロー呪文と異なり、「呪文を」3枚加えるのがミソ。つまり土地を引くことが無いため、確実に手札の内容が濃くなる。例外として、両面カードは加わってしまうので《ジュワー島の撹乱》のようなカードの採用枚数には気を付ける必要がある。
また補足として、抽出は山札の内容を並び替えない仕様となっている。マリガンや占術で山札の底に送ったカードはそのままであるし、《書庫の鍵》で加えた《副陽の接近》をプレイした後に《公式発見》をプレイすると、山札の上から7枚のどこかに副陽があることは変わらない。(上7枚の中の呪文を抽出し、順番が早まるケースはある)

 

上記のデッキは非常に面白かったが、プレイしていく中でいくつかの問題点に気が付いた。まず、《アールンドの天啓》が強いマッチが少ない。

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コントロール同系では《感電の反復》と合わせることで対処しづらい決定打としての強さは健在なのだが、黎明期にあたる現在のメタゲームではコントロールデッキはそう多くなく、バリューが発揮しづらい。またナーフの内容(予顕で軽くならない・予顕プレイ時しかトークンが出ない)が想像以上に重く、単純にカードが強くないと感じた。

 

一方《公式発見》は非常に強力で、得られるアドバンテージは圧倒的、加えた呪文も軽くなるのでその後のゲーム展開も円滑。

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《公式発見》から《公式発見》へと繋がり、圧倒的な展開になる。その後はどのような手段でもゲームに蓋をできるので、ここで無理に天啓をプレイする必要は無いと感じた。3マナ程度まで軽くなったリーアが手札を1000枚もたらすので、《ゼロ除算》を無限回プレイして勝利できる。時には《書庫の鍵》から《時間のねじれ》や《副陽の接近》が得られるので、勝利手段に事欠かない。

 

次に疑いがかかったのが《霊媒者》。

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始めの内は《ゼロ除算》《予想外の授かり物》《公式発見》などをコストダウンしキャッキャウフフと喜んでいたが、これらとセットにならない場面では驚くほど弱い。またコストダウンし甲斐のある《公式発見》とは一見相性が良いように見えるが、逆に《公式発見》で手札に加わってしまうと邪魔になるという二面性があることもわかった。《棘平原の危険》《ジュワー島の撹乱》《霊媒者》と手札に加わった時は泡を吹いて倒れた。

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またアルケミーで人気のあるカードの一つに《審問官の隊長》があり、このカードが含まれるデッキでは例外なく《精鋭呪文縛り》が使われている。せっかく軽くした呪文を元に戻されてはやるせないし、こちらが地上の1/3を展開した返しに3/1の飛行が出てくるので絶望的に噛み合わない。手札から追放された後に《霊媒者》を引いてきた場合などは地獄である。《精鋭呪文縛り》は重いカードを追放するのが定石なので、この事態は頻発する傾向にある。

 

総じて、上記リストのイゼット天啓はイマイチ。楽しいデッキではあるが強くはなかった。残念。

 

次に着手したのがクレリック

 

先日のイニストラードチャンピオンシップの際チームメンバーが擦りに擦り、そして諦めたのがこのクレリックであるが、頓挫した要因であるイゼットが弱体化していることと、一つのカードの登場がこのデッキを一気に押し上げた。

 

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「絶対に外れない中隊」こと《審問官の隊長》である。4マナで確実に2体のクリーチャーを展開できるので、《集合した中隊》に頭を抱えた全てのプレイヤーにおススメ。中隊デッキでクリーチャーを何枚入れるのが適正かといった議論も過去に何度も行われてきたが、これはテキストに「20枚以上入れろ、場に何体か並んでる想定ならその分さっぴけ」と書いてあるので非常に親切。20後半用意しておけば間違いなかろう。BO3でサイドボーディングする際は3マナ以下のクリーチャーを抜き過ぎないように注意。

 

このカード、クレリックなので全く違和感なくデッキに入れることができるし、《英雄たちの送り火》でもサーチ可能と至れり尽くせりである。

《英雄たちの送り火/Pyre of Heroes》[KHM] 茶R
起動しているだけでどんどんカードが増えていく。完全に《出産の殻》である。誰が何と言おうと殻なんだ。

 

《審問官の隊長》が加わったクレリックに、併せて必ず採用したいカードがある。《玻璃池のミミック》だ。

《玻璃池のミミック/Glasspool Mimic》/《玻璃池の岸/Glasspool Shore》[ZNR] 青R

隊長は3マナ以下のクリーチャーをランダムに抽出してくるが、このカードが選ばれた際は祭り。場の隊長をコピーして2度目の抽出、さらにミミックが捲れれば3度目、さらにミミックが捲れれば4度目。祭り。
土地スロットでクリーチャーを用意できるので20枚以上のカウントにも貢献と言うこと無し。スタンダードの頃はオルゾフで構築されていたが、このシナジーを考慮し、エスパーでの構築を推奨。《正義の戦乙女》や《スカイクレイブの亡霊》をコピーする動きも強力で、手出しも十分許容できる。《スカイクレイブの秘儀司祭、オラー》をコピーして自壊させ複数体を吊り上げる動きも玄人感が出ていい。いいよね…

 

《生命の絆の僧侶/Cleric of Life's Bond》[ZNR] 金U

ミミックや《さびれた浜》などの青マナが増加すると最序盤のアンタップイン率が低下しマナベースに無理が生じてしまうため、個人的には《生命の絆の僧侶》を取り払い黒マナの負荷を下げるアプローチを推奨したい。しかし《生命の絆の僧侶》の絡んだ動きが強力なのも理解できるので、爆発力か安定感かはお好みで。

 

黒マナ負荷軽減構築サンプル。BO1の場合は《団結の天使》を1枚《象徴学の教授》に代えて講義を使うと良い。

 

クレリックはデッキ強度が高く満足している。今後も調整し甲斐のあるデッキだと思う。

 

そしてこのデッキの調整を行う中で、相手にして強いと感じたデッキが赤単ドラゴン。自分では調整していないので、切札勝負くん(@SakeIzumo)のリストを拝借。

 

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《恐るべき仔竜》は本当に恐るべきカードで、特に除去が当てづらい先手時のマウント能力は圧倒的。《街裂きの暴君》《黄金架のドラゴン》《星山脈の業火》が立て続けに襲ってくる。イージーウィンが多いデッキであり、豪快。派手さが好きな人にはたまらないデッキだと思うので、おススメ。

 

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《呪い縛りの魔女》《血塗られた刷毛》を使うミッドレンジデッキも人気のあるアーキタイプ。構築幅が広いので様々なバージョンがある。(黒単、吸血鬼etc..)
コンセプトが綺麗なデッキで可能性は感じるが、この手のボードコントロールデッキは青いコントロールデッキを苦手とする傾向があり、特に後述の《神聖な粛清》に致命的に弱い。メタゲーム次第といったところ。サンプルリストは詐称幼女(@sanetomi)から。

 

様々な体験を経て、環境で勝てそうなデッキを自分で構築するフェーズへ。単純なデッキパワーではクレリックが優れていると感じたが、徐々に流行し始め、ミラーマッチが多発。ミシック帯でラダーをしていると最もマッチングする。

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白黒とエスパーが全てクレリック。3回に1回より多くマッチングする。

 

そこで注目したのが《神聖な粛清》。

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《神聖な粛清》はこのクレリックに劇的な効果があり、同デッキがコントロールデッキへのメタとしている《英雄たちの送り火》《スカイクレイブの秘儀司祭、オラー》のどちらも意に介さない。その他、クレリック以外の《審問官の隊長》デッキや《血塗られた刷毛》デッキにも劇的で、環境の人気どころに刺さりやすい。

 

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このカードを軸としたデッキ構築を行うにあたり、カードの性質がコントロール向きのカードであるため、組み合わせる色は青に。イゼット天啓で使っていて強いとわかっている《書庫の鍵》《溺神の信奉者、リーア》《公式発見》のパッケージを流用できるのも要因の一つ。

 

《日没を遅らせる者、テフェリー/Teferi, Who Slows the Sunset》[MID] 金R

また白青には《日没を遅らせる者、テフェリー》という《書庫の鍵》と相性抜群のプレインズウォーカーがおり、噛み合いが良い。鍵を絡めてプレイすればわずか1マナで盤面に送り出せる。1度定着すれば毎ターン3マナを追加で使用可能。テフェリーが定着している状態であれば後出しの鍵を即座にアンタップでき、相乗効果がある。

 

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《神聖な粛清》は環境に存在する多くのデッキに対し劇的である一方、コントロールのミラーマッチなどでは全く役に立たない。アルケミーにはこうした不要牌を「変換」できるカードがあり、《予想外の変換》は非常に優れたドロー呪文。《予想外の授かり物》のような手札入れ替えカードと異なり、複数枚無駄牌を引いてしまっている場面でも一括で変換可能。コントロールのミラーマッチにおける大きな手助けとなる。

 

《ドゥームスカール/Doomskar》[KHM] 白R

《予想外の変換》の採用により、手札事故をある程度緩和できるようになったことから、極端な構築が可能になっている。白青のカラーリングは2マナに優秀なカードが少なく、《ドゥームスカール》の予顕は相対的に優れたアクション。しかし《神聖な粛清》を既に多く採用している手前、手札内での偏りを考えると全体除去を入れ過ぎるのは好ましくない。しかしここに「変換」のギミックを取り入れることで強気な枚数設定が可能となる。最序盤の安定的な動きと、ゲーム展開の高い再現性を担保しながら、事故解消の仕組みを内蔵できている。

 

ここにデッキの体をなすための細かな採択を加え、以下のデッキを構築。

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理論ベースで組み上げたところ、これが上手くハマり、ミシック帯ラダーで高い勝率を収めることができた。

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現在開催中の10種競技イベントに向けてBO1で調整していたのでラダーもBO1でこなしたが、先手が高い勝率を誇るBO1において8割を超える勝率を記録。動きの再現性の高さがそのまま勝率に結びついていると感じる。

 

本番のBO1イベントも7-0することができた。現在のメタゲームであれば自信を持っておススメできる。

 

相性は赤単ドラゴンが先手後手でイーブン、コントロールミラーは相手の構成によりけりだが、不利がつくものもある。その他には基本有利で、特に対クレリックには無類の強さを誇る。1ゲームも負けたことが無いので、トップメタに強いのは魅力。良くも悪くもメタゲーム次第で、そもそもBO3を前提に見据えるならもっと他のデッキが優れている可能性もある。

 

結局ナーフされたカードは《黄金架のドラゴン》を除いてほとんど使われず、ごくまれに《アールンドの天啓》がプレイされる程度。基本は新規追加カードを上手く使うフォーマットになるだろうか。追加カードは環境を変えに来ている気概が伝わってきており、流石に強力なものが多い。

 

バランス調整は上記ページによれば「より頻繁に行い、このフォーマットの楽しさや変化の早さ、ダイナミックさを維持します。」とのことだが、これがいかほどのものであるかは明記されていない。ひとまずは事例待ち。イベントやラダーの結果が基になるかと思うので、まずはフォーマットの活性化が必要。

 

こっからはラフに感想とか

アルケミーをプレイした感想としては、「スタンダードチックなゲーム感ながら、スタンダードとはまるで異なるもの」といった感じ。MTGアリーナリリース以降は環境解明が極端に早くなり、解析され切った状態で1か月2か月と同じようなゲームをプレイし続けた結果、飽きが生じることが多かった。環境へのスパイスとしてはいいかもしれない。プロリーグがあった頃は全く同じカードプールで3回ほど大会があって「これ以上何をやらす気やねん」となっていた。
(今後どのくらいの頻度でバランス調整が入ったり、イベントが開催されたりするのかにもよる。紙のスタンダードとの関連性とか。)

 

ただし、懸念点もある。

 

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1つは情報管理。《公式発見》は個人的に好きなカードだが、相手に使われると全く別の印象を持つ。今は勝ち負けが致命的になるシチュエーションが無いのでそれほど気にならないが、チャンピオンシップなど大きなイベントでプレイすることになった場合は「相手の手札に何枚ぐらいバフがかかってるカードがあるか」を記憶する必要が出てくる。《公式発見》を段階的にプレイすると「7枚中3枚は2バフで、3枚は1バフで、1枚はこのターン引いたカードで…」と複雑にいなっていき、さらに予顕されたカードもバフは引き継ぐので「予顕3枚の内1枚は0バフで、残り2枚は1バフか2バフかかってて…」とメチャクチャになっていく。この辺の情報はアリーナ上で記録されないので、現状はメモを取るしかない。デジタル化が進んだ結果アナログなやり方が求められている?そんなことってある?

 

2つ目はワイルドカードの消費量が跳ね上がることに関連した、ユーザーの定着について。今時点でもヒストリックなんかはこれが参入障壁になってプレイできていない層が一定数いると感じている。追加カードはレアだらけなので、一般ユーザーは深刻なワイルドカード不足に陥りそう。WotCからすれば課金を促す動機付けのつもりかもしれないが、マジックにはフォーマットが無限にある(もっと言えば別にマジック以外の遊びもある)ので、プレイしない択も取れる訳で、結果色んなフォーマットにプレイヤーが分散して1個1個が過疎ったりしないかっていう懸念。パイオニアとかそんな感じになってしまっているため。

 

始まったばかりなのでしばらくは暖かく見守っていく。ヒストリックでナーフが始まったあたりから「そのうちアリーナ上ではスタンダードが廃止されて新アリーナスタン的なのが始まりそう」とか言っていたら速攻で来てビックリした。
近年マジックの変化は著しい。様々なものが移り変わっていく。いい方向に向かっていくといいね。