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続きそうだったらなんか考える

ミシックチャンピオンシップ6に向けた思考

11/8-10に開催された「ミシックチャンピオンシップ6」に向け、約1か月集中的な練習をこなした。その過程をまとめる。
後述するが、11/18の禁止改定前に公開したかったので、ほぼ殴り書き。クオリティの担保はできない。真にブログの感覚で見てもらえれば幸い。

 

スタンダード2020(『エルドレインの王権』リリース前)
⇒『エルドレインの王権』リリース
⇒禁止改定
⇒アリーナMCQ(ミシックチャンピオンシップ7予選)
⇒グランプリ名古屋
⇒ミシックチャンピオンシップ6

の時系列順に記述。

スタンダード2020環境

スタンダード2020とは、MTGアリーナ内で行われた、ローテーション後を想定した次期環境先取りイベントのこと。『ラヴニカのギルド』『ラヴニカの献身』『灯争大戦』『基本セット2020』の4セットのみ使用可能だった。(現在のスタンダードから『エルドレインの王権』を取り除いた形)
ちょうど暇なタイミングだったので、次期スタンダードの予行練習としてそれなりの数プレイした。

 

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結果、《風景の変容》無しでもゴロスデッキが十分な強さを持つことを知る。
すぐさま自身でもそれをプレイし高勝率を収めるが、その過程で《荒野の再生》デッキにマッチングした際は全く勝つことができず、仮にゴロスデッキが次期環境で覇権を握ることがあれば、対抗勢力として十分なものになると感じた。
実際、スタンダード2020フォーマットで開催された大会でも《荒野の再生》デッキは好成績を収めている。

 

トーナメント概要:

smash.gg

 

デッキリスト

mtgazone.com

Jim Davis - Fandom Legends MTG Arena Week 24 2位

クリーチャー(2)
2 パルン、ニヴ=ミゼット

呪文(32)
2 ショック
4 チャンドラの勝利
4 成長のらせん
2 炎の一掃
4 悪意ある妨害
4 薬術師の眼識
4 荒野の再生
2 ラルの発露
2 嵐の伝導者、ラル
4 発展+発破

土地(26)
3 島
3 山
4 蒸気孔
4 繁殖池
4 踏み鳴らされる地
3 天啓の神殿
4 神秘の神殿
1 岩だらけの高地

サイドボード
2 否認
2 覆いを割く者、ナーセット
3 丸焼き
1 炎の一掃
3 夏の帳
2 ハイドロイド混成体
2 崇高な工匠、サヒーリ

 

『エルドレインの王権』リリース

案の定、ゴロスが環境の覇者に。
事前に考えていたリストを基に《荒野の再生》デッキの調整を開始した。

 

クリーチャー(0)

呪文(34)
2 軽蔑的な一撃
2 火消し
4 霊気の疾風
4 成長のらせん
4 悪意ある妨害
2 覆いを割く者、ナーセット
4 炎の一掃
4 薬術師の眼識
4 荒野の再生
4 発展+発破

土地(26)
4 島
1 山
1 森
4 蒸気孔
4 繁殖池
4 踏み鳴らされる地
4 寓話の小道
2 ヴァントレス城
2 爆発域

サイドボード
4 神秘の論争
4 焦熱の竜火
2 夏の帳
2 生体性軟泥
2 魔術遠眼鏡
1 爆発域

 

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ゴロスデッキは1アクションが非常に大振りなデッキであり、《悪意ある妨害》のような打ち消し呪文の影響を受けやすい。一般的なコントロールデッキ相手には《死者の原野》から湧き出すゾンビトークンと《ハイドロイド混成体》のアドバンテージにより耐性を持たせているものの、《荒野の再生》デッキは対戦相手を完全にコントロールし切るのではなく、《荒野の再生》と《発展+発破》のコンボを成立させるための時間稼ぎとしてカウンターをプレイするため、ゾンビトークンがこちらのライフを削り切るよりもコンボの方が早く、有利。

 

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思惑通り高勝率を収めるが、『エルドレインの王権』環境におけるもう一方の雄・オーコデッキにはそれほど強みが無く、特に《厚かましい借り手》が多く搭載されるタイプには分が悪かった。仮にゴロスデッキの何かしらが禁止され、オーコが支配する環境となった際には、潔く諦めるべきだと感じていた。

 

《死者の原野》禁止

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ミシックチャンピオンシップ5(正確にはそれに向けたデッキ提出)の結果を受け、《死者の原野》が禁止に。懸念していた事が起きてしまった。
念のため《荒野の再生》デッキを引き続きプレイしてみたが、「選択肢」程度の感触しかなく、特に強みは感じられなかった。その後MOPTQを準優勝、アリーナMCQを通過するなどの成果を収めはしていたものの、「オーコ以外のデッキが頑張っている」程度の感想しか持てず、ベストデッキにはなり得ないと判断し、断念。

 

ここまでの時間のほとんどを《荒野の再生》デッキの調整に割いており、多大な損失を被った。おそらく、100マッチはプレイしたと思う。
ゴロスデッキの禁止処置は濃厚であったため早々と見切りをつけるべきだったかもしれないが、同時にオーコデッキにも処置が施される可能性も高いと睨んでいた。ゴロスだけに手を加えればその後の環境がどうなるかは火を見るよりも明らかであり、懸命な判断が下されれば、そう悪い結果にはならないだろうと踏んでいた。
そして期待は裏切られた。

 

アリーナMCQ(ミシックチャンピオンシップ7予選)

《死者の原野》禁止からアリーナMCQ開催までの期間は僅かに5日。限られた時間でデッキを決定し、プレイを習熟する必要がある。
始めはアリーナラダーを走り込んでベストデッキの選定&プレイの習熟に努めるつもりでいたが、「禁止改定の発表は10/21、しかしアリーナへの適用は10/24」という謎のラグに阻まれることになる。10/26にイベントが行われるのに、信じがたい発表だった。
練習に励もうとラダーに潜っても、ゴロスを駆る不届き者(合法ではあるが、敢えてこう呼ぶ。こちらも必死なので、気を悪くしないでほしい。)とマッチングし、フラストレーションを募らせた。本番マッチングしないデッキと対戦しても時間の無駄なのですぐにでも投了したいが、負けるとランクが下がるという地獄連鎖に悶絶していた。

 

その結果、自分で努力することを放棄。
だが諦めて不貞腐れていた訳ではなく、代わりに何をしたかというと、Twitterで流れてくるアリーナラダー1位取得の報告や、上位ランカーによる配信の視聴をベースに、情報収集に徹した。
最大4つの配信を同時に視聴しながら、ミシック1桁台でプレイするストリーマーの使用デッキ、その対戦相手のデッキを調査し、高勝率を収めるものを洗い出した。
自らがプレイする場合、上記の通り多大な労力が必要であるし、ある程度デッキを絞って理解度を上げる必要もある。
その上で、1試合の平均時間が30分だとして、3時間プレイした場合相手にできるのは6人程度。調査できるデッキは同じく6つ。
今回のやり方であれば、4つの配信(アーカイブ込み)を並行して視聴した場合、24個(試合時間にブレがあるので上下あり)のデッキを調べることができ、流行や高勝率のデッキをより正確に知ることができる。

 

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調査した中で勝率が高かったのは、《厚かましい借り手》をフィーチャーしたテンポ型のシミックフード、そして《害悪な掌握》のために黒をタッチしたスゥルタイフードの2つ。その他、青白コントロール(当時ランキング20位のOndrej Straskyが使用していたことで、ある程度本命のデッキであることを知る)のような珍しいデッキも確認することができた。

使用者が圧倒的に多く、平均した勝率も高いテンポシミックとスゥルタイに候補を絞り、調整を開始。アリーナMCQ当日昼間の神挑戦者決定戦にも参加しアリーナラダー1位のプレイヤーが使用していたテンポシミックをテストしたが、肌に合わなかったので、本番は次点候補のスゥルタイを使用することにした。
視聴していた配信内でもスゥルタイは多く見受けられたため、この同系戦を意識して下記のリストを使用。

 

クリーチャー(19)
4 金のガチョウ
4 楽園のドルイド
4 意地悪な狼
3 探索する獣
4 ハイドロイド混成体

呪文(17)
3 害悪な掌握
4 むかしむかし
4 王冠泥棒、オーコ
4 世界を揺るがす者、ニッサ
2 戦争の犠牲

土地(24)
1 島
2 沼
6 森
4 湿った墓
4 繁殖池
4 草むした墓
3 寓話の小道

サイドボード
3 虐殺少女
2 軍団の最期
1 軽蔑的な一撃
2 否認
3 霊気の疾風
2 夏の帳
2 伝承の収集者、タミヨウ

 

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《戦争の犠牲》はミラーマッチのメインボードにおける最上位のカード。ミラーマッチのキーカードである《世界を揺るがす者、ニッサ》のカウンターとして最適で、ニッサニッサでクリーチャー化した土地・それ以外の土地・食物トークンと破壊することで再起不能に陥れる。
このスロットには通常、ゴルガリアドベンチャーを筆頭としたアグロデッキに有効な《虐殺少女》を置くのが一般的で、ミッドレンジデッキを意識する場合は《人知を超えるもの、ウギン》《戦慄衆の将軍、リリアナ》あたりに置き換わるが、《戦争の犠牲》は更にその一つ上を見据えた選択。本番もこのカードを乱打して、同系戦を制し続けた。

 

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サイドボード後は《害悪な掌握》《戦争の犠牲》を全て下げ、《霊気の疾風》《伝承の収集者、タミヨウ》or《虐殺少女》(先手後手で変更)と入れ替えてることで対戦相手の《夏の帳》を腐らせるプランを選択。

 

結果、ミラーマッチには全て勝利したが、《魔女のかまど》デッキのブン回りと、最後はクリックミス(意図しないフルパンで壊滅)により2敗ドロップ。
ミス時は思わず叫んだ。朝方5時に対戦していて、集中力が切れてしまった。昼間に神挑戦者決定戦に参加したことでスタミナが尽きたことが要因に挙げられるが、この経験が無ければスゥルタイに絞れなかったので、集中力とのトレードオフとも言える。悔しいが、やむを得ない。

 

デッキとしての感触は良く、結局このイベントの勝ち組もスゥルタイであった(予選を通過したトップ16の内アーキタイプとして最多の6つ、その上で上位のトップ8に5つ、1位通過のスゥルタイは15-0を記録した)ので、選択には満足がいっている。反省点を踏まえて以下のチューンアップを施した。

 

《害悪な掌握》3⇒4

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環境には基本緑のデッキしか存在しないので、振り切っても腐ることがほぼ無い。メインボード時点では《夏の帳》される心配も基本的には無いため、安心して4枚を選べる。

 

・《探索する獣》3⇒0

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他に入れたいものが無いので、ふんわり残っていたスロット。
《ゴルガリの女王、ヴラスカ》ではデッキ内のクリーチャー比率が少なく、《むかしむかし》のヒット率に支障をきたすと感じていたので、消去法的に獣を選択。
ほとんど全てのマッチアップでサイドアウトされる無駄なスロットであるため、代わりを探していた。

 

・《残忍な騎士》0⇒2

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《探索する獣》をアウトする上で、「クリーチャーであり有効牌」の条件を満たすカードとして目を付けた。
メインボードは《戦争の犠牲》と合わせて相手のプレインズウォーカーを殲滅することに注力し、消耗戦の末に勝利することを目指す。

 

・《森》6⇒5 + 《ロークスワイン城》1

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ロングゲームを行う狙いである以上、それをこなす上で少しでも優位性がほしかったため、長期戦に備えて《ロークスワイン城》を採用。《残忍な騎士》を採用する上で黒マナも追加したかった。

 

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上記変更と合わせて、《夏の帳》に対する付き合い方を修正。
アリーナMCQ時は対応札を《霊気の疾風》に絞ることで《夏の帳》をかわしていたが、メインボードに除去が増えたことでサイドアウトし切るのが難しくなった。打開策として、「徹底的に対象に取りまくることで、カウンターされながらも最終的に《戦争の犠牲》を押し通して帳消しにする」という荒業を見出す。
このプランでテストを行ったところ、十分な勝率を上げることができた(練習相手の宇都宮巧の心を折り、デッキを変えさせた)ため、サイドボードの整合性を取り、目先の目標であるグランプリに臨むことにした。

 

グランプリ名古屋

以下のリストで参加。

 

クリーチャー(18)
4 金のガチョウ
4 楽園のドルイド
2 残忍な騎士
4 意地悪な狼
4 ハイドロイド混成体

呪文(18)
4 害悪な掌握
4 むかしむかし
4 王冠泥棒、オーコ
4 世界を揺るがす者、ニッサ
2 戦争の犠牲

土地(24)
1 島
2 沼
5 森
4 湿った墓
4 繁殖池
4 草むした墓
3 寓話の小道
1 ロークスワイン城

サイドボード
3 虐殺少女
2 軍団の最期
3 否認
2 神秘の論争
2 夏の帳
2 打ち壊すブロントドン
1 戦争の犠牲

 

初日を7-2、2日目を1-0のところで知人とマッチングし、引き分け。2敗1分はPT権利が無いラインなので、共倒れになるよりはとトスしてドロップを選択。PTQに移行した。
この大会は練習に当てると決めていたので、全試合で異なるサイドボーディングをテストしたが、どれもしっくりこず、個人としての感触はあまり良くなかった。
しかしながら、デッキリストをシェアし、元々予定していたプランを貫いた宇都宮巧が初日9-0含む14-1でトップエイト入り。デッキのポテンシャルを信じて調整を続けることにした。

 

その後の調整の結果、メインボードは特に変更なく、サイドボードのみ以下のように変更。

 

2 虐殺少女
2 強迫
2 軍団の最期
1 軽蔑的な一撃
2 否認
1 霊気の疾風
1 神秘の論争
2 夏の帳
2 打ち壊すブロントドン

 

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ミシックチャンピオンシップにおけるデッキリスト公開制の性質を考慮し、カードの種類を散らしている。リスト公開制においては「全く入っていない」と「少し入っている」の間に大きな差があり、「絶対に来ない」のと「来るかもしれない」のではプレイに対する影響度が大きく異なる。
例えば、2ターンオーコが全くどうしようもない手札でも、リストに《神秘の論争》の記述さえあれば青マナをアンタップインするだけでプレイを躊躇わせることができるし、《夏の帳》があれば1ターン先送りするかもしれない。そうした結果、今度は《霊気の疾風》できるケースもあるので、見た目以上に効果が大きい。
リスト公開制の制度を詳しく知らない人のために捕捉すると、メインボードは60枚すべてのカードの配分がわかるが、サイドボードはカードの種類のみが公開され、枚数は記されない。そのため上記のサイドボードは相手視点の場合以下のように見える。

 

虐殺少女
強迫
軍団の最期
軽蔑的な一撃
否認
霊気の疾風
神秘の論争
夏の帳
打ち壊すブロントドン

 

各カードの枚数を特定するのは非常に難しい。


基本的なゲームプランに関しては前述の通りで、変更無し。
グランプリ名古屋で培ったノウハウを基に勝負することにした。

 

ミシックチャンピオンシップ6

ドラフトラウンドは0-3と3-0で3-3。悲しきかないつも通り。
ミシックチャンピオンシップ2の際は集中して練習できたこともあって過去最も成績が良かった(2-1、2-0-1)ので、構築デッキが早々と決まればドラフトスコアにも反映が望めるのだが、それがなかなかに難しい。情報が揃い切った場では差別化が困難で、優位性を見出しづらい。結局ギリギリまで試行錯誤することになりがち。
かと言ってドラフトに比重を寄せ過ぎれば、ドラフトよりもラウンド数の多い構築ラウンドのデッキがお粗末なものとなり、大敗を喫することになる。ドラフトで6-0しても構築で4-6すれば10-6と並の成績になってしまう。バランスが難しいのだ。

 

スタンダードラウンドは6-4。オーコデッキと10連戦した。

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最後のデッキリスト交換の際「4 Oko, Thief of Crowns」の文字列が視界に入った際はガッツポーズを決めた。せめてもの土産話だ。
僕に限らず、10戦中9戦はオーコデッキというプレイヤーは少なくなかった。もはや何かしらの処置は免れないだろう。これを支配的と言わずして何と言う。
この記事も本当はもう少し余裕をもって書きたかったが、"処罰"が下った後では旬を逃してしまうので、急ピッチで殴り書くことにした。11月18日が楽しみだ。

 

大会中は一度も2ターンオーコ or 3ターンニッサできず、イージーウィンは皆無。ほぼ全ての試合をロングゲームし、疲弊し切っていた。そんな中で大きなミス無く戦い抜いた点は自らを評価したい。
内訳としては、シミックフードが3試合(1-2)、バントフードが2試合(2-0)、スゥルタイフードが5試合(3-2)。概ね想定通りだが、シミックフード戦の負け試合は両名ともMPLメンバー(Alexander HayneとPiotr Glogowski)なので、少なからずの補正があるだろう。

 

10試合を戦い抜いた感想として、最も大きな反省点は「サイドボードに《戦慄衆の将軍、リリアナ》を採用すべきだった」ということ。

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事前に定めた戦略、「《夏の帳》は対象を取る呪文の連打で立ち向かい、最終的に《戦争の犠牲》のアドバンテージで帳消しにする」というゲームプランは、決して悪くは無かったものの、別段良くも無かった。
プランの欠点として、最終的な《戦争の犠牲》で取り戻すとは言っても、最初の帳で1枚分のアドバンテージを許してしまうので、どうしても相手側にリソース面で先行されてしまう。即座に《戦争の犠牲》に繋がれば良いが、《夏の帳》を複数枚引かれていたり、こちらの有効牌が続かないなど、ブレ幅に付き合う必要がある。
更にリスト公開によってこちらの戦略が《戦争の犠牲》に依存したものであることが透けてしまっているため、対戦相手もそれ以外の可能性を考慮せずに済む点も大きかった。サイドボーディングとゲームプランに一貫性を与えてしまう。
リスト公開の上ではもっと幅の出せる75枚を選択すべきで、上記の通り"受けの幅"は出せていたが、"攻めの幅"は単調だった。多角的な攻めには《戦慄衆の将軍、リリアナ》が必要不可欠だったと感じている。

リスト公開制の影響を考慮し切れていなかったことが敗因に挙げられるが、関連して、前述のプランで"そこそこ勝てていた"ことも問題として挙げられる。オーコデッキは"デッキが強過ぎるせい"で、雑なプランや戦いをしてもある程度勝率が出てしまうのだ。

 

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2ターンオーコ、3ターンニッサニッサハイドロイドなど、決まり手となる要素さえ含まれていれば、ノイズ部分の効力が微々たるものであったり、時にはマイナス効力を発揮したりしても、デッキパワーがそれらを上書いてしまう。
一例としては、ミラーマッチで《強迫》をサイドインし、大したカードを抜けない or 何も抜けなかったとしても、その後ニッサ⇒ハイドロイドを決めて勝利したならば、「《強迫》により安全確認ができたお陰で、最大値のアクションが勝利に繋がった」などと考えることもできる。実際のところ、《強迫》は仕事をしていない。仮に《強迫》で手札が透けていなくとも、ニッサもハイドロイドもプレイはする。意味を成していないのだ。

改めて、今大会のトップ8には2名《戦争の犠牲》型スゥルタイが残っている。反省を踏まえた上でリストを確認したところ、やはりサイドボードには《戦慄衆の将軍、リリアナ》の姿があった。
途中までは、合っていたと思う。あと1歩か2歩、より実戦的な感覚をもって突き詰めることができれば辿り着けたかもしれないが、本番での失敗という手痛い経験を得てしか僕はここには至れなかった。

 

実は今回、チーム調整を行わなかった。これまでのプロツアーで調整過程を共にしたチーム武蔵の調整グループは、メンバーの大半がプロツアー権利を失ったことで空中分解し、残されたメンバーはそれぞれ独自で調整を行っていた。
結果僕に関しては、非常につまらない見落としで本番を失敗し、ありきたりな反省を持ち帰ることになった。大きすぎる代償だ。大した学びにもなっていない。

 

彼らと意見を交えることができていれば、こんなことも無かっただろうかと、少し寂しい気持ちにもなった。本質的には己の実力不足が招いた結果なのだが、つまらない意地や、非合理的な選択の一つ一つが今の状態に結びついていることを、嫌というほど思い知らされた。仲間の存在は偉大だ。


今大会の開始時、大会運営より、来シーズン1回目のプレイヤーズツアーの招待枠を拡張する旨が伝えられた。幸いにも僕はその範疇に含まれ、来年2月に行われるPT名古屋の権利を有することになった。無論、今大会で参加権利を有していなかったグループのメンバー達も。


非常に不甲斐ない結果に終わりはしたものの、望外のチャンスに再度心の灯がともるのを感じた。プロレベル制度も終焉を迎え、勝つことでしかチャンスは得られない。繋ぐだけのやり方はもはや通用せず、"今勝つ"以外に道はない。


2月1日名古屋。自分の持てる全てを出し切りたい。