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続きそうだったらなんか考える

『ラヴニカの献身』門多色

直近のアリーナドラフトで3連続「門多色」デッキをドラフトし、5勝した。

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ノウハウが溜まったので、忘れない内にメモしておく。

 

概要

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『ラヴニカの献身』ドラフトは通常5つのギルドの内いずれかに向けてピックを進めていくのが定石だが、多色デッキの構築も可能なデザインが施されている。
『ラヴニカのギルド』に引き続き全てのパックにギルド門が封入されているため、これを駆使して潤沢なマナベースを築き上げ、多色デッキを実現させる。

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一部の特殊土地やFoilにより多少は増加するものの、基本的には卓に供給される多色土地の枚数は24枚(3パック×8人)。この内半数近くを自分がピックする必要があるため、同アーキタイプの卓内許容人数は1人という事になる。またギルド門は1週毎に8枚ずつが供給されるため、段階的に収集していくことが必要になる。以上の事から比較的早めの参入を意識しなければ、バランスの良い多色デッキを構築することは難しい。「グチャったから多色にしよう」の考えは大方通用しない。
ピック序盤で下記に挙げるキーカードを手にすることが、わかりやすい参入のキッカケだ。

 

キーカード

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門を複数枚並べることでバリューが得られるカード達。このアーキタイプをプレイする意義とも言え、どれも凄まじい威力だ。
《門破りの雄羊》は最速でプレイしても3マナ4/4警戒トランプルとハイスペック、ゲーム終盤にはより巨大なサイズに成長し、序盤から終盤まで活躍が望める。
《門の巨像》はこのアーキタイプのフィニッシャーで、平均して5ターン目にはプレイが可能。トランプルは無いが、雑魚クリーチャーによるチャンプブロックや接死クリーチャーとのトレードに制限を掛けることができる。見た目以上にフィニッシュ性能は高く、セットする土地が基本的に門であるこのデッキでは山札の上に戻す能力の達成も容易い。
《燃え立つ門》はわずか3マナで唱えられる全体除去だ。その上で自らの《門破りの雄羊》や《門の巨像》は盤面に残すことができる。ギルド門の性質上、同デッキはタップインが基本で動きが鈍い。どこかで一度盤面を取り返す動きが必要となり、その観点で《燃え立つ門》は打ってつけだ。他2種と異なり代替要素が無いので、個人的には同アーキタイプの中で最も重要な1枚と位置付けている。

 

基本構造

門デッキは基本4色~5色のカラーリングとなるが、だからと言ってどの色のカードでも満遍なく使用して良い訳ではない。
仮に5色を不自由なく使おうとすると、色マナソースが各色7~8枚必要になり、単純計算で17枚の土地全てが多色土地であることを求められる。これは様々な観点で現実的ではない。
まずピック段階で全45枚中23枚のスペルと17枚の多色土地、つまり計40枚の有効牌をピックしなければならない。よく15枚目で回ってくるような、サイドボードとしても不十分なカードを含め、デッキに"入れないこと"を選べるカードは5枚しかない。
また対戦中、全ターンタップインする。ゲームの最初から最後まで、常に対戦相手のプレイするカードより1つ下のマナ域のカードで対応し続けなければならない。後攻なら2つ下だ。
そうした惨事を避けるためにも、メインでプレイする色(=ベースカラー)を定め、ピックもそれに沿って進める必要がある。大方2色だが、状況次第では3色も可能。
ここは普通のドラフトと同じだ。便宜上4色や5色といった言い方をするが、何もかもが許される訳ではない。

サンプル1

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赤緑黒の3色がベースカラーで、白をタッチしている。青を使っていないので1色分負荷が軽減されており、3色をメインに使用できている。

サンプル2

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青緑がベースカラーで、白黒赤をタッチしている。取れている土地の内容的に赤は少し余裕があるのでタッチ色の中でもやや濃く使用し、逆に捻出しづらい白と黒の負荷は抑えている。

 

弱いカード

ドラフトでデッキを構築する際、誰しもが「カードが足りない」状況に陥ったことがあると思う。門デッキは特にそれが発生しやすい。45枚のピックの内10枚前後を土地に割かなくてはならないため、単純に呪文を取る機会が減っている。
掲載したデッキの中にも、普段なら極力デッキに入れたくないようなカードや、デッキに全く合っていないカードが採用されている。もちろん他にカードが無いからだ。

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強力なカードを使う代償として、これらノイズを受け入れる必要がある。経験上こうしたカードが全く入らないことはほとんど無いので、どういったカードであれば許容できるのかを知っておくべきだ。
基本的には「それなりのパワー・タフネスを持つクリーチャー」が好ましい。つまり適当な相手のクリーチャーと相殺し「最低限1枚分の働きをする」ことが期待できるカードだ。

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クリーチャーだがロクに守りにも使えないものや、状況を選ぶカード、コンバットトリックは避けたい。コンバットトリックは一見最低限の働きを期待できるように思えるが、タップインが多過ぎるのでマナを構えることが難しく、プレイすることが難しい。

 

ピックのポイント

・多色土地は12枚を目指す

この数値は色マナカウントの都合で算出されている。12枚取れると、そこに基本地形6枚を加えて、色マナカウントが30個確保できる。
ベースカラーを8:8とし、そこからサブカラーに14を割り振る。
色マナカウントの目安は、
8・・・ベースカラーの捻出
6・・・その色のカードを5枚ぐらい使う
5・・・その色のカードを3枚ぐらい使う
3・・・その色のカードを1枚ぐらい使う
程度で考える。8:8:6:5:3のような振り分けであれば安定的な運用を図れるだろう。
上記は5色を前提とした数値で、4色であれば必要な枚数はもう少し下がる。色の合っている門が用意できていれば8枚程度で問題ないと思う。
補足として、僕は門多色デッキの土地は18枚で運用することが多い。色マナカウントの担保、アンタップイン土地枚数の担保、弱過ぎるカードを入れるぐらいなら土地の方が強い、などいくつかの要因に基づく。

 

・可能であればベースカラーはグルールかシミックに寄せる

卓の流れ次第でどの色を中心とすべきかは変化していくが、望ましいのはグルールかシミックだ。理由は「クリーチャーの質」で、タップインランドを置き続ける都合、コンバットトリックや除去を組み合わせて動くことが難しい。基本フルタップで動き続けていくので、盤面に繰り出すクリーチャーは追加のサポートを受けずとも相手クリーチャーと渡り合える緑のクリーチャーが好ましいのだ。

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小細工なしでぶつかり合える

またシミックにはもう1つ明確なバリューがあり、《成長のらせん》が使える。

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タップインの多いデッキは継続的にタップインし続けるので、常に対戦相手より低いマナ域でゲームすることを強いられる。
《成長のらせん》はこの問題を最もスムーズに解決してくれる1枚で、マナ域を加速させながら手札のタップインランドを処理できる。実質2ターン分加速していると言っても過言ではなく、通常のデッキよりも恩恵が大きいのだ。

 

・ライフゲインが重要

先に述べたように、タップインが基本となるためゲーム序盤は対戦相手に後れをとりがちだ。体勢を作る前に展開量で押し負けたり、ライフがもたず敗北の負けパターンは少なくない。ライフゲインはそういった負け筋をケアできる。

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特に《アーチ道の天使》の威力は凄まじく、このデッキであれば10点以上のライフゲインが望める。序盤のもたつきを補って余る量だ。
《欲深いスラル》は回復量はさほど大きくないが、相手の飛行クリーチャーへのブロッカーとなり、巻き返しの後はフィニッシャーも担えるので単純に強力なカード。またアンコモンの《アーチ道の天使》と比べてピックしやすいので、より現実的にデッキに組み込める。
《森の刷毛履き》は上記2種と比べ優先度はずっと低く、率先して入れたいカードでもないが、安く取れるライフゲイン枠として勝手が良い。パワー3の3マナは適当な相殺にも向いており、重宝する。ビートダウンデッキでは心許ないタフネス2も、相殺要因として割り切る守りのデッキであれば悪くない。

 

・テンポの悪いカードは取らない

繰り返すが「常にタップインするデッキ」なので、テンポの悪いカードは歓迎されない。

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《速足ウツボ》は通常のシミックデッキであれば優良なクリーチャーだが、順応の支払いが枷となりやすいこのデッキでは他の4マナ3/3クリーチャーと大差がない。先述した「弱いカード」枠での採用なら上位の部類だが、率先して採用したいようなものではない。
《可能性の揺らぎ》や《スフィンクスの眼識》といったドローソースもテンポの悪さが際立つ。通常のデッキであれば1テンポのロスで済むが、このデッキの場合はタップインのもたつきに重なるので、最悪2ターン何もしないターンが生まれてしまう。

 

 



多色は楽しい。プレイしていて爽快感のあるデッキだ。
今のアリーナは多色系カードの評価が低いので、ピックもしやすいと思う。是非堪能してみてほしい。