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続きそうだったらなんか考える

有料記事とブレイクスルー

noteにて有料記事を投稿した。

note.mu

有難いことに、2019年5月3日現在で1500部近い売上があり、ページビューは2万を記録。内容としては、このブログの最初のエントリで触れた「サイドボーディング」をテーマに設定している。

jspeed.hatenablog.com

ちなみにその時はサイドボーディングに関する話をまとめていた。マジックにおけるサイドボーディングは軽視されがちな部分だと思っていて、僕はその認識が誤ったものであることを言いたい。
自身のブレイクスルーのキッカケは間違いなくサイドボーディングにあったし、プロツアー『破滅の刻』の際、調整メンバーのチーム武蔵の面々より共有されたサイドボーディングの知識は僕を一回りも二回り強くし、結果ゴールドレベルの到達に至った。この経験は今なお生き続けている。以降も僕の掴んだいくつかの成功の裏には、ほぼ例外なくサイドボーディングの技術が関与していたと言っても過言ではない。

 

まぁ、ボツったんだけど。

機会があったらいずれ書き直したい。この前書いたものはGP静岡2018に向けたジェスカイコントロールになぞって書いたもので、既に旬を逃している。

文中にある通り一度は投げ出した題材だ。昨年秋にざっと書き出したがしっくり来ずお蔵入りとなっていた。だがマジックフェスト・京都2019のイベントカバレージ内で八十岡翔太がサイドボーディングについて言及しているのを見て「やはり必要なものだった」と思い直し、再度執筆に至る。

mtg-jp.com

有料記事には消極的な考えを持っていたが、報酬を得ることがモチベーションに繋がり、労力を要するコンテンツを完成させる動機となるのであれば、それは筆者・読者双方にとってのメリットになるのではないかと考えを改めた。「存在しない」の1択よりは「存在するが有料」の選択肢を取れる方が読者にとっての利となるはずだ。もちろん、筆者にとっても。
今回のテーマは伝達が困難で、画像や例を挙げながら細かく解説を挟んでいく必要があった。冗長な文章になりがちだったので、軽めのストーリーテリングを意識し、退屈させないよう注意を払っている。また読了するまでの間極力の不快感を取り除こうと何度も声に出して読み上げ、つっかえを修正し、句読点の位置から強調のタイミング、頻度までを繰り返し検討した。やり始めるとキリが無いので24時間以内の時間設定を行ったものの、やはりそれなりの労力は要した。

 

少し調べた感じでは好意的な意見が多く見受けられ、素直に嬉しく思っている。やりがいを感じたし、また何か良いテーマを見つけられれば取り組んでみたい。今この記事を見ていて、もし何か言語化の必要性を感じるテーマを持っている人がいれば、それを話してみてほしい。Twitterのリプライでもコメントでも構わない。自分で書いてみたいがまとめる自信が無い場合は相談してくれてもいい。僕はそれを読んでみたいので、喜んで協力する。有料記事の冒頭で成長に関するこだわりを見せたが、僕が過去に成長を感じた経験のほとんどは内なる発現よりも外的要因に依る部分が大きい。今の自分が持ち合わせない能力は、見出すよりも学んでくる方が早いと感じている。他人の考えを知る機会は多いに越したことはなく、ここには常に積極性を持っていたい。

 

プロツアー『破滅の刻』でのブレイクスルー

上記でも少し触れた最初のエントリにおいて、以下のようなことを述べた。

プロツアー『破滅の刻』の際、調整メンバーのチーム武蔵の面々より共有されたサイドボーディングの知識は僕を一回りも二回り強くし、結果ゴールドレベルの到達に至った。

今回投稿した有料記事の中ではこの事には触れていないので、せっかくだし話しておこうと思う。

 

プロツアー『破滅の刻』は自身が初めてゴールドレベルに到達した思い出深いトーナメントだが、それ以外にも鮮明に記憶されていることがある。
この大会で僕は黒単ゾンビをプレイした。このデッキは当時のトップメタであるラムナプ・レッドに相性が良く、本大会においても自身のスコアで3勝0敗を記録している。

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他のデッキが苦とする《熱烈の神ハゾレト》を《闇の掌握》や《闇の救済》で簡単に対処できるなど有利とされるポイントはいくつかあるのだが、特に《リリアナの支配》が圧倒的で、プレイできれば負けは無いと言っても過言ではない。
だが本番の前日、調整メンバーである武蔵の面々より共有されたサイドボーディングプランには目を疑う内容が記されていた。曰く、ラムナプレッド相手には《リリアナの支配》を減らす。
同カードに多大な信頼を寄せていた僕はこれを「はいそうですか」と受け入れる訳にはいかず、真意を問い質したところ以下のような回答が得られた。

 

「サイドボードから《ゲトの裏切り者、カリタス》を追加するので、デッキが重くなり過ぎないためにも高マナ域は削減の対象となる。またラムナプレッドは元々相性の良い相手なので、やり過ぎず、高マナ域が重なりカードがプレイできなくなるような事故の負け筋をケアした方が良い。」

 

僕がマジックをプレイしてきた中で何度かのブレイクスルー(進歩、前進の意。僕の場合はその中でもより飛躍的な進歩を指して用いている。)があったが、この事はその一つに数えられる。この時までは僕もサイドボーディングは所詮不要牌と有効牌の入れ替え程度に考えていた。サイドボーディング後のデッキの全体像を考える契機となり、それ以降のサイドボーディングは明確に進歩したと自負している。直後の日本選手権でタイトルを掴んだ際その感覚はより確かなものとなった。

 

何が自分自身を成長させるキッカケとなるかはわからないが、その機会をより多く得ていくためにも学びに対しては貪欲であるべきだ。己を貫き通す事も時には重要だが、それはある種の現状維持だ。もしあなたに破るべき殻があるならば、同じことを繰り返すよりも変化を与えてみることをお勧めする。ちょっとしたキッカケで人は変わることができる。